日本酒の甘口・辛口の違いとは?|日本酒度・酸度・アミノ酸度と味わいの関係

水平のポーズを取る女性

さやかちゃん

日本酒の種類は沢山ありますが、その中から甘口のお酒を探す良い方法はありますか?

サケ丸

日本酒のラベルに描いてある数値を見れば、甘口か辛口か傾向をつかむことができるよ!

特に日本酒を飲み始めの頃は、以下のような経験をされている方が多いのではないでしょうか。

  • 甘口の日本酒が欲しくて酒屋に行ったけど、種類が沢山ありすぎてよく分からなかった…。
  • 甘口だと思って買った日本酒が辛口だった…。

それでは、日本酒の甘口と辛口を見分ける良い方法はあるのでしょうか。実は、日本酒の瓶に貼ってあるラベルの数値を見ると、甘辛の傾向をある程度つかむことが出来ます。

日本酒の裏ラベルには日本酒選びのヒントがある

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サケ丸

数字がいっぱい書いてあって難しそうだけど、必要なところだけ覚えておけばOKだよ!

関連記事:日本酒のラベルの見方|ラベルはあなた好みの1本を選ぶヒントがある!

そこで今回は日本酒の甘口・辛口について以下の2点を中心に解説いたします。

日本酒の甘口・辛口の違いについて

  • 日本酒はなぜ甘口と辛口があるのか?
  • 日本酒を甘口と辛口はどうすれば見分けることができるのか?

本記事をご覧いただければ、お米で造られている日本酒がなぜ甘口になったり辛口になったりするのか理解していただけると思いますので、最後までぜひご覧ください。

お米のデンプンが変化した「糖分」が日本酒の甘口の正体

スプーン1杯の砂糖

日本酒は、なぜ甘口になったり辛口になったりするのでしょうか。その答えは、日本酒の製造工程における「糖化」と「アルコール発酵」にあります

並行複発酵は「糖化」と「アルコール醗酵」を同時に行う醸造方法

並行複発酵の仕組み

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日本酒は、麹(こうじ)が出す酵素の力によってお米のデンプンを糖分に変える「糖化」と、酵母の働きによって糖分をアルコールと炭酸ガスに変える「アルコール発酵」によって造られます。

このように、1つのタンクの中で糖化とアルコール発酵が並行して行われる醸造方法を「平行複発酵」といいます。

糖分は、酵母がアルコール発酵を行うえで必要不可欠な栄養源なのです

サケ丸

ビールは麦を麦芽で糖化して麦汁を造る工程と、麦汁を発酵させる工程を別の容器で行う「単行複発酵」と呼ばれる醸造方法で造られているんだよ!

関連記事:並行複発酵とは?|並行複発酵はビールやワインと異なる日本酒特有の醸造方法

酵母が醪(もろみ)で力強く活動すると辛口の日本酒になる

升に入った冷酒

酵母は糖分を栄養源にしてアルコールを生み出しますが、酵母が力強く活動して糖分を余すところなくアルコールに変えると、出来上がった日本酒に含まれる糖分は少なくなりますので、味わいは辛口になります。

この酵母の活動をどの程度行わせるのか、甘口にするのか辛口にするのかは、蔵元の目指す日本酒のコンセプトによって調整が行われます。

”Hot”ではなく”Dry”|辛口の日本酒は「糖分が少ない日本酒」のこと

このように、日本酒の甘口・辛口は出来上がった日本酒に含まれる糖分が「多いか少ないか」で決まります。つまり、辛口の日本酒とは糖分の少ない日本酒のことなのです。

さやかちゃん

私は辛いものがダメだから、辛口のお酒は飲めないかも…。

サケ丸

日本酒の辛口はワサビやマスタードのような辛さ(Hot)ではなくて、甘くない(Dry)という意味だよ!

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日本酒のラベルから甘口・辛口を見分ける3つの指標

日本酒のラベル(裏ラベル)

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日本酒のラベルにある様々な表示をみれば、甘口なのか辛口なのかがある程度判断することができます。ポイントとなる指標は「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つです。

指標①:日本酒度|糖分の含有量を表す指標(甘口/辛口)

日本酒度による味わいの変化
+6.0以上 +3.5~+5.9 +1.5~+3.4 -1.4~+1.4 -1.5~-3.4 -3.5~-5.9 -6.0以上
大辛口 辛口 やや辛口 普通 やや甘口 甘口 大甘口

日本酒度は日本酒の甘口・辛口の判断の目安として使われていて、日本酒度の数値は糖分とアルコールのバランスで決まります。日本酒の甘みはアルコール発酵しきれなかった糖分によるもので、日本酒に糖分が多く含まれていれば日本酒度はマイナスで甘口になります。逆に、日本酒に含まれている糖分が少なければ日本酒度はプラスで辛口になります。

注意

日本酒度のプラスの値が大きければ辛口、マイナスの値が大きければ甘口となりますが、以下でご紹介します「酸度」や「アミノ酸度」によっても味わいは大きく変わります。そのため、あくまで1つの目安としてご覧ください。

指標②:酸度|酸の含有量を表す指標(濃い/薄い)

酸度による味わいの変化
1.6以下 1.6~1.8 1.8~2.4 2.4以上
少し薄い 普通 少し濃い かなり濃い

酸度は日本酒に含まれるコハク酸や乳酸、リンゴ酸などの酸が含まれている量を示した指標で、日本酒の味の濃淡に影響する成分です。酸度が高い方が辛口で濃く低いほうが甘口で薄い味わいになります。

指標③:アミノ酸度|アミノ酸の含有量を表す指標(濃厚/淡麗)

アミノ酸度による味わいの変化
1.0未満 1.0~2.0 2.0を超える
淡麗 一般的 濃厚

アミノ酸度は、日本酒に含まれる20種類以上のアミノ酸の濃度を示した指標です。標準的な日本酒のアミノ酸度は1.0~2.0で、2.0を超えると濃厚でコクのある日本酒になり、1.0より低いと淡麗でスッキリとした日本酒になります。

MEMO

アミノ酸度が高すぎると、雑味の多い味になってしまいます。そのため、アミノ酸が多く含まれているお米の表面を削り落とす「精米」がとても重要になります。

関連記事:日本酒に含まれるアミノ酸の効能|香味や健康・美容効果を詳しく解説

日本酒度・酸度|両者の相関関係から甘口・辛口を見極める

酸度と日本酒度の関係

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日本酒の甘口・辛口を見分ける指標を3つご紹介しましたが、このうち日本酒度と酸度のバランスにより日本酒の味わいは以下のように変化します。

  • 濃醇辛口…お米のコクとキレのある喉越しが特徴
  • 濃醇甘口…お米のコクと優しい甘みが特徴
  • 淡麗辛口…スッキリとした味わいとキレのある喉越しが特徴
  • 淡麗甘口…スッキリとした味わいと上品な甘みが特徴

さやかちゃん

この表を参考にすれば、自分にピッタリの日本酒を探せそうですね ♪

特定名称酒で甘口・辛口を見分ける方法

冷酒を飲む女性

日本酒には、原料や精米歩合、添加物など法律で要件が定められた「特定名称酒」と呼ばれるお酒があり、「純米酒」「吟醸酒」「本醸造酒」など8種類に分類されています。

関連記事:日本酒の特定名称酒とは?|8種類の製法や味わいの違いを徹底解説!

醸造アルコールが添加された「アル添酒」は辛口の傾向がある

特定名称酒のうち醸造アルコールが入ったお酒
種類 原料 精米歩合 香味の特徴
吟醸酒 米・米麹・仕込み水
醸造アルコール
60%以下 固有の香味及び色沢が良好なも
大吟醸酒 50%以下 固有の香味及び色沢が特に良好なもの
本醸造酒 70%以下 香味及び色沢が良好なもの
特別本醸造酒 60%以下または
特別な醸造法
香味及び色沢が特に良好で、精米歩合60%
以下又は特に良好であることを製造方法等
により説明表示してあるもの

この特定名称酒には、上の表のとおり「醸造アルコール」という主にサトウキビを発酵させて蒸留した高純度のアルコールが入っている日本酒があります。

醸造アルコールが入っている日本酒は、味わいの面で以下のような特徴があります。

醸造アルコールが入っている日本酒の特徴

  • 醸造アルコール自体が辛口のため日本酒に入れることで辛口でクリアな味わいになる
  • 日本酒の香りを引き立てる
  • 日本酒の甘みや酸味、雑味を抑えてくれる

一般的に、醸造アルコールが入っている日本酒はスッキリとしたキレのある辛口の日本酒が多いとされています。醸造アルコールを醪(もろみ)に入れるとアルコールが多くなって糖分が薄まるため、日本酒度の値が大きくなり辛口の味わいになるのです。

醪(もろみ)とは?

「蒸し米・米麹・仕込み水・酒母(しゅぼ)」を混ぜて発酵させたもの。醪を搾ると液体(原酒)と固形物(酒粕)に分離されます。

なお、醪(もろみ)の詳細は、醪(もろみ)とは?|三段仕込みは多量の日本酒を造る伝統技術でもご紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。

サケ丸

醸造アルコールの入った日本酒は「アル添タイプの日本酒」と呼ばれているよ!

関連記事:酔いや頭痛は醸造アルコールが原因?|日本酒に醸造アルコールを入れる3つの理由

生酛・山廃造りの日本酒は強靭な酵母により辛口のお酒が多い

生酛造り(きもとづくり)と山廃造り(やまはいづくり)は、自然に存在する乳酸菌を巧みに使って雑菌の繁殖を抑え、日本酒造りに必要な良質な酵母を育てる昔ながらの伝統的な製造方法です。

生酛造りや山廃造りで育てられた酵母はとても強く元気なため、醪(もろみ)の中で最後まで糖分を食べ続けて余分な糖分を残こしません。そのため、生酛造りや山廃造りの日本酒は、スッキリとしたキレのある辛口のお酒が多いとされています。

サケ丸

生酛造りの製造工程の中で、「山卸し(やまおろし)」を廃止して簡素化したのが山廃造りだよ。

関連記事:生酛造りと山廃造りの違いとは?|日本酒の酒母造りから両者の違いを解説

まとめ

いかがだったでしょうか。日本酒の甘口と辛口は、醪(もろみ)の中で酵母が糖分を食べる(アルコール発酵)程度によって決まることについてお話してまいりました。

日本酒は種類が豊富で、自分にピッタリの日本酒を探すのはなかなか大変ですが、今回ご紹介した「日本酒度と酸度の関係」を目安にしていただきますと日本酒選びがもっと楽しくなるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 日本酒の甘みの元となる「糖」は、お米からアルコールを生成うえで必要不可欠なもの。
  • 酵母の活動が活発で糖を余すところなく食べつくすと出来上がった日本酒は辛口になる
  • 日本酒の辛口はワサビや唐辛子のような刺激的な辛さ(Hot)ではなく、淡麗でキレのある味わい(Dry)を意味する。
  • 日本酒度は日本酒に含まれる糖分の含量を示す指標で、甘口はマイナス辛口はプラスで表示される。
  • 酸度は、日本酒に含まれるコハク酸や乳酸、リンゴ酸などの酸が含まれている量を示した指標で、値が高い方が辛口で味が濃く低いほうが甘口で淡麗な味わいになる。
  • アミノ酸度は日本酒に含まれるアミノ酸の濃度を示した指標で、値が高いほどコクのある濃醇な日本酒になり、低いとあっさりとした薄味の日本酒になる。
  • 醸造アルコールが添加された「吟醸酒」「大吟醸酒」本醸造酒」「特別本醸造酒」は辛口の傾向がある
  • 生酛造り山廃造りで造られた酵母菌は強く、醪の中で最後まで糖分を食べるので、スッキリとしたキレのある辛口のお酒が多い

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