サケ丸
さやかちゃん
「米・米麹(こめこうじ)・水」で造られたどぶろくは、お米の豊かな香りと深いコクが味わえるお酒です。
最近は、どぶろくに含まれる豊富な栄養成分が健康だけではなく美容にも効果があるため、女性を中心に人気が集まっています。
とは言うものの、独特の名前と白濁した見た目のどぶろくは、初心者にとっては敷居が高く尻込みしてしまうお酒ではないでしょうか。
また、「甘酒」「にごり酒」は、どぶろくと見た目がよく似ていますが、どのような違いがあるのか気になるところです。
サケ丸
そこで本記事では、どぶろくについて以下の3つを中心に解説いたします。
- どぶろくはどんなお酒なのか(製法と美味しい飲み方)
- どぶろくとごり酒・甘酒との違いについて
- どぶろくの健康・美容効果について
普段からアルコールを飲む方でも、どぶろくをまだお試しになったことがない方は多いと思います。本記事が、「どぶろく」を味わうきっかけになりましたら幸いです。
目次
どぶろくは醪(もろみ)をそのまま瓶詰めしたお酒
日本酒は、醪(もろみ)を搾って液体(日本酒)と固形物(酒粕)に分ける「上槽(じょうそう)」と呼ばれる作業によって抽出されますが、どぶろくは上槽を行わずに醪をそのまま瓶詰めしたお酒です。
酒母に「蒸し米・米麹(こめこうじ)・水」を3回に分けて仕込み、糖化・アルコール発酵させたもの。発酵が進むと3~4週間で醪が完成し、搾ることで日本酒が抽出されます。
なお、醪(もろみ)の詳細は、醪(もろみ)とは?|三段仕込みは多量の日本酒を造る伝統技術でもご紹介していますので、あわせてご参照ください。
どぶろくは「甘酒」に似た優しい甘みと酸味が特徴のお酒
どぶろくは米と米麹を発酵させてそのまま瓶詰めしたお酒ですので、お米のつぶつぶした口当たりとほのかな甘み、酸味が特徴です。
「アルコール入りの甘酒」と言われるほど味わいは甘酒に似ていますので、どぶろくが初めての方でも抵抗なく飲むことができます。
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活性タイプのどぶろくは開封時に吹き出さないよう注意が必要
一般的な日本酒は、長期保存できるように「火入れ」と呼ばれる加熱処理を行います。この火入れによって酵母菌の活動(アルコール発酵)がストップしますので、酒質が安定して長期保存することができます。
どぶろくは、火入れを行うか否かによって以下の2つに分類されます。
- 火入れを行わない ⇒ 活性タイプのどぶろく
- 火入れを行う ⇒ 火入れタイプのどぶろく
活性タイプのどぶろくは火入れを行わないため、酵母が生きたまま瓶の中で活動を続けています。そのため、瓶の中でアルコール発酵が進み、酵母菌が発生する炭酸ガスの「プチプチ」とした微炭酸を楽しむことができます。
また、「火入れ」が行われていないため冷蔵庫での保管が必須で、開封後は早めに飲み切ることをおすすめします。
関連記事:日本酒の火入れとは?|生酒・生詰め酒・生貯蔵酒の違いは火入れの「回数」
現在はどぶろく特区や一部の神社のみ醸造が許されている
どぶろくは比較的簡単に造ることができるため、昔は自家製のどぶろくが農家を中心に当たり前のように造られていました。
しかし、明治32年に自家用酒造が全面的に禁止されたことから、どぶろくを家庭で造ることができなくなりました。
現在、どぶろくの醸造を許されているのは「どぶろく特区」と呼ばれる一部地域や、飛弾の白川八幡神社などの神事を行う神社に限られてます。
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【おすすめアレンジ4選】どぶろくの美味しい飲み方
どぶろくは、基本的には常温や冷酒で飲みますが、アレンジ次第で違った味わいや風味を楽しむことができます。
アレンジ①:どぶろくロック
どぶろくに氷を入れてロックにすると、氷が溶けてどぶろくが薄まるためスッキリ飲むことができます。また、お好みでレモンライムを搾ると、酸味が増して味わいの変化を楽しむことができます。
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アレンジ②:どぶろくサワー
暑い夏はどぶろくを炭酸水で割った「どぶろくサワー」をぜひお試しください。濃厚な味わいのどぶろくは、炭酸水を加えることでスッキリとした味わいに変わり、口の中に広がるシュワシュワとした発泡感が心地よいです。
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アレンジ③:どぶろくのミルク割り
どぶろくのミルク割りは、女性に人気の飲み方です。どぶろくの酸味とミルクの甘味がマッチしたカルーアミルクのような味わいになります。
アレンジ④:ホットどぶろく
どぶろくは温めると酸味がまろやかになり、お米の風味や甘さが引き立ちます。特に寒い冬は、体の芯から温まる「どぶろくの燗付け」をぜひお試しください。
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関連記事:お燗酒の作り方|湯煎と電子レンジによる日本酒の温め方のコツとは?
どぶろくの美容・健康効果(アミノ酸・コウジ酸・酵母・オリゴ糖)
どぶろくに含まれている主な栄養成分は以下のとおりです。
- アミノ酸:体内でエネルギーとして使われ、筋肉痛や筋損傷、疲労回復に効果がある
- コウジ酸:美白成分や黄ぐすみ防止成分を含んでいる
- 酵 母:腸内環境を整え、免疫力を高めてくれる
- オリゴ糖:腸内のビフィズス菌を増やし便秘の解消に効果がある
このように、どぶろくは栄養成分がたくさん含まれているお酒で、美容や健康維持に効果があるとされています。
それでは、各栄養成分が身体にどのような効果があるのか、以下で詳しくお伝えします。
アミノ酸|生命の維持に欠かせない必須の栄養素
人間の体を構成するアミノ酸は20種類あり、大きく分けると「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」の2種類に分類されます。
そのうち体内で合成できない9種類が必須アミノ酸で、私たちの体の中で作ることができないため食事から摂取する必要があります。
どぶろくは9種類の必須アミノ酸だけではなく、その他の多くの非必須アミノ酸を豊富に含んでいるため、飲むことで以下のような健康効果が期待できます。
- 筋力アップやダイエット効果
- 疲労回復
- 肝臓の機能改善
- ストレス改善
- 集中力や記憶力の向上
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関連記事:日本酒に含まれるアミノ酸の効能|香味や健康・美容効果を詳しく解説
コウジ酸|美容業界で注目されている女性必見の栄養素
コウジ酸は麹(こうじ)含まれる酵素で、メラニン色素の生成を抑える美白効果や、年齢とともに肌に蓄積する黄色いくすみを抑制する作用があるとされています。
杜氏(酒造りの職人)の手が白く美しいことから研究が進められ、1988年に美白成分として厚生労働省から認められました。
- 肌の黄ぐすみを防いで透明感のある肌を維持する
- シミやたるみなどの肌の老化原因を防ぐ
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酵母|睡眠の質を高める「アデノシンA2A」を活性化する栄養素
清酒酵母には、睡眠の質を高める「アデノシンA2A」と呼ばれる成分を活性化する作用があることが確認されています。
ちなみに、「米・米麹(こめこうじ)」だけで造られている甘酒は酵母が入っていない(アルコール発酵していない)ため、睡眠を高める効果はありません。
- 睡眠の質を高める
オリゴ糖|腸内環境を整え体内のビタミン補給を担う栄養素
腸内の善玉菌である「ビフィズス菌」を増やす作用がありますので、有害な細菌やバクテリアの増殖を抑してお腹や腸の働きを整える効果が期待できます。
また、オリゴ糖は腸内細菌によりビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンK、葉酸、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類に合成され、体内のビタミン補給に重要な働きをします。
- お腹の働きを整える
- 体内のビタミン補給を担う
どぶろくとにごり酒の違いは「上槽」を行うか否かにある
どぶろくと比べてうっすらと濁っている「にごり酒」はどのような日本酒なのでしょうか?
にごり酒は目の荒い酒袋で醪(もろみ)を搾ったうす濁りのお酒
にごり酒は、醪(もろみ)を搾る上槽のときに目の粗い酒袋で搾り、その後の滓引き(おりびき)や濾過(ろか)を行わずに瓶詰めされたお酒です。
そのため、原酒に醪の中で溶けきれなかった米の固形物が残り、白く濁って見えます。
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関連記事:濾過(ろか)とは?|日本酒の無色透明で淡麗な味わいは濾過により生まれる
どぶろくは「その他醸造酒」、にごり酒は「清酒」に分類される
区分 | にごり酒 | どぶろく |
原料 | 蒸し米・米麹・水・酵母 | |
酒税法上の分類 | 清酒 | その他醸造酒 |
上槽の有無 | あり | なし |
にごり酒とどぶろくの違いですが、両者の違いは上槽(じょうそう)と呼ばれる作業が行われているか否かにあります。
にごり酒は上槽の際に醪(もろみ)を目の細かい酒袋で搾ったお酒で、酒税法では「清酒」に分類されます。
一方、どぶろくは蒸し米と米麹、仕込み水を混ぜてアルコール発酵させたものを瓶詰めしたもので、上槽は行われていません。そのため、どぶろくは酒税法では清酒ではなく「その他醸造酒」に分類されます。
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どぶろくと甘酒の違いはアルコールを含むか否かにある
甘酒は「蒸し米・麹・水」を原料にして造られた日本伝統の甘味飲料です。
米と米麹だけで造られた甘酒にはアルコールが含まれていない
ドロドロとしたお粥のような見た目はどぶろくとてもよく似ていますが、甘酒とどぶろくの違いはアルコールを含んでいるか否かにあります。
甘酒は、厳密にはアルコールを少し含んでいますが1%未満のため「清涼飲料水」に分類されています。
どぶろくは、平均で14~17度程度のアルコールを含んでおり、酒税法では「その他醸造酒」に分類されています。
甘酒は麹の働きでお米のデンプンを糖に変えた飲み物です。そのため、アルコールは含んでいません。一方、どぶろくは甘酒の糖を酵母の働きによってアルコール発酵させた飲み物ですので、アルコールを含んでいます。
甘酒は「飲む点滴」と言われるほど栄養満点
甘酒は、江戸時代から夏バテ防止の栄養ドリンクとして飲まれていたほど栄養満点の飲み物です。主な栄養分は、アミノ酸、ビタミンB群、ミネラルなどがありますが、特に麹菌の働きにより米のデンプンから作られた糖分が豊富に含まれていて、これは点滴と同じ成分なんです。
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まとめ
今回は「どぶろく」についてお話させていただきましたが、いかがだったでしょうか?ドロドロとした独特の見た目から敬遠されがちなどぶろくですが、飲んでみると「甘酒」を思わせるほのかな甘味とお米の旨味を感じることができるお酒です。
女性の方にも嬉しい美白成分(コウジ酸)や疲労回復効果も期待できますので、どぶろくをまだ飲んだことのない方はぜひお試しください。
- どぶろくは、上槽を行わないで醪をそのまま瓶に詰めたお酒。
- どぶろくは、「どぶろくロック」、「どぶろくサワー」、「どぶろくのミルク割り」、「ホットどぶろく」など、アレンジ次第で違った味わいや風味を楽しむことができる。
- どぶろくは、アミノ酸、コウジ酸、酵母、オリゴ糖など各種栄養成分を含んでいる。
- どぶろくに含まれているアミノ酸は、必須アミノ酸と非必須アミノ酸の2種類があり、特に9種類の必須アミノ酸は私たちの体の中で作ることができないとても重要な栄養成分です。
- どぶろくに含まれているコウジ酸は、メラニン色素の生成を抑える美白効果や、年齢とともに肌に蓄積する黄色いくすみを抑制する作用がある。
- にごり酒は、滓(おり)と呼ばる白い固形が酒中に浮遊する「白濁した色のお酒」です。
- 白濁した滓の正体は、溶け切れていないお米の粒です。
- にごり酒は、透きとおった上澄みと下に沈殿した滓を混ぜて飲むのが一般的ですが、上澄みと滓を別々に味わうのもおすすめ。
- にごり酒は、火入れを行っていない「活性にごり酒」があり、炭酸ガスの「シュワシュワッ」とし口当たりを楽しむことができる。
- 甘酒は蒸し米・麹・水を原料にして造られた日本伝統の甘味飲料で、アルコールが1%未満のため「清涼飲料水」に分類される。
- 甘酒は、江戸時代から夏バテ防止の栄養ドリンクとして飲まれていたほど栄養満点の飲み物です。