サケ丸
さやかちゃん
日本酒にあまり馴染みのない方でも「純米酒」や「吟醸酒」などの銘柄は聞いたことがあるかと思います。
それでは、今回ご紹介する「本醸造酒」をご存知でしょうか?
本醸造酒は、純米酒に「醸造アルコール」を入れて造られた日本酒で、スッキリとキレのある味わいが特徴のお酒です。
- 吟醸酒
- 大吟醸酒
- 本醸造酒
- 特別本醸造酒
さやかちゃん
また、価格はリーズナブルなので、家での普段のみにピッタリの親しみやすい銘柄です!
今回は、そんな魅力的な特徴を持つ本醸造酒について、以下の点を中心に解説いたします。
- 本醸造酒とはどんなお酒なのか
- 本醸造酒と純米酒の違い
- 特別本醸造酒の「特別」は何が特別なのか
- 本醸造酒のおいしい飲み方
本記事をきっかけにして、あなたの「本醸造酒を飲むきっかけ」になっていただけたら幸いです。
目次
本醸造酒はどんなお酒?|特徴や魅力をご紹介
それでは、特別本醸造酒とはどのような日本酒なのか、特徴や魅力について詳しく解説いたします。
本醸造酒は純米酒に「醸造アルコール」を入れたお酒
国税庁が定めた「清酒の製法品質表示基準」において、本醸造酒は以下のとおり正義されています。
- 精米歩合70%以下の米や米麹、および醸造アルコールや水を原料にして造られた日本酒
- 添加できる醸造アルコールの量は、使用する米の重量10%まで
純米酒は「米・米麹・水」を原料にして造られたお米の旨味や香りが特徴のお酒ですが、本醸造酒は純米酒に醸造アルコールを添加したお酒です。
醸造アルコールは、主にサトウキビを発酵して蒸留した無味無臭の高濃度のアルコールで、体に害はありません。醸造アルコールを日本酒に入れると、以下のようなメリットがあるとされています。
- 醸造アルコール自体が辛口のため、日本酒に入れると辛口でクリアな味わいになる
- 日本酒に含まれる雑味成分「糖分」「酸」を醸造アルコールが抑えてくれる
- 吟醸系の日本酒に入れるとフルーティーな香りが引き立つ
なお、醸造アルコールは使用するお米の重量のわずか10%(お米1tに対して120ℓ)までと法律で厳しく制限されています。
サケ丸
さやかちゃん
関連記事:二日酔いや悪酔いは醸造アルコールが原因?|日本酒に醸造アルコールを入れる3つの理由
人によっては、「醸造アルコールの入った日本酒=質の悪い日本酒」とイメージされる方もいるかと思いますが、それは戦中戦後の米不足の中で誕生した「三増酒」の影響と思われます。
三増酒は、醸造した日本酒に2倍の醸造アルコールを加え、3倍にかさ増ししたお酒です。薄くなった味を添加物で調整しているため、まずいお酒の代名詞となり、日本酒のイメージ低下に繋がりました。この三増酒は2006年の酒税法改正により日本酒(清酒)として認められなくなりましたので、現在は日本酒(清酒)の三増酒は存在しません。
本醸造酒のスッキリとした味わいはどんな料理にも合う
本醸造酒は純米酒に醸造アルコールを入れて造られたお酒なので、純米酒特有のお米の甘みや旨味などの風味を残しつつ、軽やかな口あたりとスッキリとした喉ごしが特徴です。
そのため、どんな料理にも合わせることができますが、特に白身魚やだしを使った料理、豆腐、野菜を使った料理など、アッサした料理との相性がとても良いです。
和食 | 中華 | 洋食 |
・そば ・寿司 ・茶碗蒸 |
・かに玉 ・シュウマイ ・小籠包 |
・ロールキャベツ ・プレーンオムレツ ・スモークサーモン |
さやかちゃん
本醸造酒はリーズナブルな価格で家飲みにピッタリ
お米を40%以上も磨き上げて、「吟醸造り」と呼ばれる製法で手間ひまかけて造られた吟醸酒は、味も価格もハイグレードなお酒です。
一方、本醸造酒は精米歩合70%以下ということでお米の磨きは30%にとどまっていますし、お米重量の10%以内で醸造アルコールが入っていますので、製造コストを安く抑えることができます。
このような理由から、本醸造酒はリーズナブルな価格でお買い求めできますので家での晩酌酒にピッタリなお酒と言えるでしょう。
本醸造酒は所定の要件を規定した「特定名称酒」と呼ばれるお酒
名称 | 原料 | 精米歩合 | |||
吟醸酒 | 吟醸酒 | 米 | 米麹 | 醸造アルコール | 60%以下 |
大吟醸酒 | 50%以下 | ||||
純米酒 | 純米酒 | 米 | 米麹 | - | - |
純米吟醸酒 | 60%以下 | ||||
純米大吟醸酒 | 50%以下 | ||||
特別純米酒 | 60%以下または 特別な醸造方法 |
||||
本醸造酒 | 本醸造酒 | 米 | 米麹 | 醸造アルコール | 60%以下 |
特別本醸造酒 | 60%以下または 特別な醸造方法 |
日本酒には「特定名称酒」という種類があり、国税庁が定めた「清酒の製法品質表示基準」より原料や製方が厳しく規定されています。
この特定名称酒は原料や精米歩合、醸造アルコールの添加の有無により8種類に分類されていますが、本醸造酒はその中の1つです。
なお、特定名称酒以外のお酒は全て「普通酒」に分類され、日本酒全体の70%を占めています。
サケ丸
関連記事:日本酒の特定名称酒とは?|8種類の製法や味わいの違いを徹底解説!
日本酒は「本醸造系」と「純米系」の2種類に分類される
下の表をご覧ください。日本酒は「本醸造系」と「純米系」の2種類に分類されていて、本醸造酒や吟醸酒は「醸造アルコール」という副原料が入っているのが分かるかと思います。
本醸造酒と純米酒の違いは、原材料に「醸造アルコール」が入っているか否かにあります。
区分 | 原料 | 種類 |
純米系 | 米・米麹・水 | 純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒 特別純米酒 |
本醸造系 | 米・米麹・水 醸造アルコール |
吟醸酒、大吟醸酒、本醸造酒 特別本醸造酒 |
本醸造系の日本酒|淡麗でスッキリとした味わいが特徴
本醸造酒系に共通している特徴は、醸造アルコールによるスッキリとしたキレのある味わいと辛口の味わいでしょう。
特に吟醸酒や大吟醸酒は、醸造アルコールによって引き立てられた「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれるフルーティーな香りが特徴です。
純米系の日本酒|米の穏やかな香りと素朴な甘み・旨味が特徴
一方、純米酒系のお酒は、「米・米麹・水」だけで造らていますので、お米の穏やかな香りと素朴な甘みや旨味を味わうことができます。
さやかちゃん
サケ丸
関連記事:純米酒とは?|純米吟醸酒・純米大吟醸酒との違いやおいしい飲み方をご紹介
スポンサーリンク
特別本醸造酒の「特別」とは?|本醸造酒と特別本醸造酒の違い
本醸造酒に似た日本酒で「特別本醸造酒」と呼ばれるお酒があります。この両者の違いで真っ先に挙げられるのが名称に「特別」が付いているか否かですが、それでは「特別」が付いている特別本醸造酒とはどのような日本酒なのでしょうか?
まず、特別本醸造酒と名乗るためには、以下のどちらかの条件を満たす必要があります。
- 精米歩合が60%以下
- 特別な方法で日本酒を造っていて、かつ、ラベルにその内容を記載すること
条件①:精米歩合が60%以下であること
精米歩合ですが、本醸造酒は精米歩合70%~60%、特別本醸造酒は精米歩合60%以下です。特別本醸造酒の方がたくさん精米した酒米を使用しており、ハイクラスな日本酒と言えます。
そのため、味わいの面では特別本醸造酒の方がスッキリとした軽やかな味わいを楽しむことができます。
お米の表面にはタンパク質や脂肪など酒の雑味成分(ぬか)がありますので、お米の削り具合は日本酒の味わいに大きな影響を及ぼします。
- 精米歩合の数値が低い(お米をたくさん削る):華やかな香りと雑味のないスッキリとした味わい(価格は高め)
- 精米歩合の数値が高い(お米を削らない):穏やかな香りとお米の濃厚な味わい(価格は低め)
関連記事:精米歩合とはお米の削り具合を示す指標|精米歩合で変わる日本酒の味わいとは?
条件②:特別な方法で日本酒を造っていること
次に特別な製造法ですが、以下のような方法で醸造すると「特別」として認められます。
- 低温で長期発酵させている
- 木製の器具を使って醪を絞る「木槽しぼり」を採用している
- 無農薬の酒米を使用している
したがって、精米歩合が60%以上あっても特別な製造方法で醸造していれば、特別純米酒と名乗ることができます。
サケ丸
本醸造酒の美味しい飲み方|冷酒から燗酒まで楽しめる
呼び名 | 温度 | 瓶の温度 | 香味の特徴 |
飛切燗(とびきりかん) | 60℃ | 熱い | 強い香りと刺激的な辛口 |
熱燗(あつかん) | 55℃ | やや熱い | シャープな香りと辛口の味わい |
上燗(じょうかん) | 50℃ | 湯気が出て熱く感じる | 香りや味わいを強く感る |
むる燗(ぬるかん) | 45℃ | やや温かい | 香りの輪郭をはっきり感じる |
人肌燗(ひとはだかん) | 40℃ | ほんのり温かい | 味わいが膨らみ始める |
日向燗(ひなたかん) | 35℃ | 温度を感じない | ほんのりと香味が感じられる |
涼冷え(すずびえ) | 15℃ | 冷蔵庫から出して少し時間が 経過したくらい |
華やかな香りやとろみのある味 わいがある |
花冷え(はなびえ) | 10℃ | 冷蔵庫で冷やしたくらい | 香りが小さくなり喉越しが良く なる |
雪冷え(ゆきびえ) | 5℃ | 氷水くらい | 香りがあまり感じられず味も感 じにくい |
日本酒は、冷やすと甘みや香りが抑えられてサッパリとした味わいになり、逆に温めるとコクや旨味が強調される特徴があります。
本醸造酒は味わいがスッキリとしていて後味にキレがあるため、冷やしても温めても美味しくいただくことができます。そのため、食事の前菜は淡白な料理に合う冷酒、料理の後半のこってりとした味の濃い料理にはお燗酒といったように料理にあわせて温度を変えると、本醸造酒の魅力を十二分に堪能することができるでしょう。
さやかちゃん
関連記事:お燗酒の作り方|湯煎と電子レンジによる日本酒の温め方のコツとは?
まとめ
純米酒や吟醸酒と比べて知名度の低い本醸造酒ですが、味わいは軽やかでスッキリしているため、幅広い温度帯で楽しむことができますし、どんな料理にも合わせられる「万能型の日本酒」という印象ですね。
価格もリーズナブルですので、家飲みに本醸造酒をぜひお試しください。
- 「本醸造酒」は特定名称酒の1つ。
- 本醸造酒と純米酒の違いは、原材料に「醸造アルコール」が入っているか否か。
- 本醸造酒は醸造アルコールが添加されているため、スッキリとした喉越しとまろやかな風味で、日本酒に馴染みのない方にも飲みやすい。
- 本醸造酒と特別本醸造酒の違いは、精米歩合と製造方法(特別な製造方法)。
- 本醸造酒の精米歩合は70%から60%、特別本醸造酒の精米歩合は60%以下で、特別本醸造酒の方がハイクラスな日本酒。
- 本醸造酒は、お米の旨味をより味わうことができる向燗(20℃程度)からぬる燗(40℃程度)の温度帯がおすすめ。
- 本醸造酒は、アッサした料理に特にマッチする。