貴醸酒とは?|食後のデザート酒にピッタリな高級日本酒は仕込みに秘密あり!

グラスに注がれた貴醸酒

サケ丸

「貴醸酒」は世界に誇る日本酒の高級酒。その上品な甘さや気品のある香りは「日本酒界の貴腐ワイン」とも言われているんだ!

さやかちゃん

貴醸酒を飲んだら、リッチな気分を満喫できそうですね ♪

「貴醸酒(きじょうしゅ)」と聞いて、日本酒の一種と認識されている方は少ないのではないでしょうか。

貴醸酒は世界に誇る高級な日本酒

今回ご紹介する貴醸酒は、濃厚な甘みと琥珀色(こはくいろ)をした見た目のお酒で、特別な製法で醸造されたリッチな日本酒です。その上品な味わいは食後酒やデザート酒にピッタリなんです。

さやかちゃん

日本酒のデザート酒だなんて!飲んでみたいです (^^)

そこで本記事では、普段なかなか味わうことができない貴醸酒について、以下の3つを中心に解説いたします。

この記事で解説すること

  • 貴醸酒とはどのようなお酒なのか?
  • 貴醸酒の製造方法と上品な甘みが生まれるヒミツとは?
  • 貴醸酒の美味しい飲み方

本記事をきっかけに、日本を代表する高級酒「貴醸酒」を味わうきっかけになりましたら幸いです。

貴醸酒は晩餐会で国賓をもてなす「高級日本酒」として誕生した

晩餐会

1970年代の日本では、国賓をもてなす晩餐会の席で海外のワインやシャンパンを提供していました。

日本に来ている国賓に海外のお酒をふるまう現状を嘆いた国税庁醸造試験所の佐藤信博士は、1973年(昭和48年)に仕込み水の代わりに日本酒で仕込む「貴醸酒」を開発しました。

その後、貴醸酒はドイツの「貴腐ワイン」に匹敵する高級酒として、海外でも評価されるようになったのです。

さやかちゃん

貴醸酒は「国賓をもてなすために造られたお酒」なんですね!ますます飲んでみたくなりました!
MEMO
日本酒で仕込む「貴醸酒」の造り方は、平安時代の古文書「延喜式(えんぎしき・927年)」に記されている宮内省造酒司による「しおり」と呼ばれる古代酒の製法が記されていました。この製法を参考にして造られたお酒が「貴醸酒」です。

貴醸酒は三段仕込みの仕込み水に「日本酒」を使った高級なお酒

日本酒が出来るまでの全行程(醪造り)

※クリックで拡大

日本酒造りには「醪(もろみ)造り」と呼ばれる工程があります。この醪は「三段仕込み」と呼ばれる製法で3回に分けて造られます。

貴醸酒は、醪(もろみ)を造る三段仕込みの最終(3回目)である「留添(とめぞえ)」で、仕込み水ではなく日本酒を加えて造られた日本酒です。

醪(もろみ)とは?
酒母に「蒸し米・米麹・水」を3回に分けて仕込み(三段仕込み)、糖化とアルコール発酵させたもの。発酵が進むと3~4週間で醪が完成し、搾ることで日本酒が抽出されます。

なお、醪(もろみ)の詳細は、「醪(もろみ)とは?|三段仕込みは多量の日本酒を造る伝統技術」でもご紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。

それでは、この「三段仕込み」とはどのような仕込みの方法なか、以下で詳しく解説いたします。

醪(もろみ)造りの「三段仕込み」は江戸時代から続くの伝統的な製法

三段仕込みは酒母を増やす日本酒独自の製法

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「三段仕込み」とは醪造りの製法のことで、酒母が入ったタンクに「蒸し米・米麹・仕込み水」を3回に分けて投入します。

酒母(しゅぼ)とは?
「蒸し米・米麹・水 」を混ぜ合わせた水麹(みずこうじ)に酵母を加えたもの。米麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が進み、甘くて酸っぱいお粥状のドロドロとした液体になります。この酒母を「三段仕込み」で倍々に増やしたものが醪(もろみ)になります。

なお、酵母の詳細は、「日本酒の酒母とは?|酒母の造り方は【生酛・山廃酛・速醸酛】の3種類」でもご紹介していますので、あわせてご覧くださいませ。

三段仕込みは4日間にかけて行われ、1日目を「初添(はつぞえ)」3日目を「中添(なかぞえ)」4日目を「留添(とめぞえ)」といいます。

なお、2日目は踊り(おどり)と呼ばれ、「蒸し米・米麹・水」は加えずに醪内の酵母の増殖を促します。

サケ丸

なぜ3回に分けて仕込むかというと、一度に「蒸し米・米麹 ・仕込み水」を投入すると酒母の酸性が薄まって、雑菌などが繁殖しやすくなるからなんだ!

さやかちゃん

雑菌は酸性に弱い」という特性を上手に利用しながら、日本酒が造られているのですね (^^)

貴醸酒は三段仕込みで「仕込み水」の代わりに「日本酒」で仕込むお酒

日本酒の三段仕込み
仕込み 呼び名 一般の日本酒 貴醸酒
1回目(1日目) 初添(はつぞえ) 蒸し米+米麹+仕込み水 蒸し米+米麹+仕込み水
2回目(3日目) 仲添(なかぞえ) 蒸し米+米麹+仕込み水 蒸し米+米麹+仕込み水
3回目(4日目) 留添(とめぞえ) 蒸し米+米麹+仕込み水 蒸し米+米麹+日本酒

貴醸酒は、三段仕込みの最終である「留添(とめぞえ)」で、仕込み水の代わりになんと日本酒を加えます。

仕込み水と日本酒とでは、日本酒のほうが圧倒的にコストがかかりますので、貴醸酒がいかに高級で贅沢なお酒なのかがお分かりいただけると思います。

さやかちゃん

水の代わりに日本酒…!貴醸酒が高級なお酒というのもうなずけますね。

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貴醸酒の甘みの秘密|酵母の特性を上手に使った醸造方法にある

並行複発酵の仕組み

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醪(もろみ)の中では、麹の働きによってデンプンが糖へと変わり(糖化)、同時に酵母の働きによって糖がアルコールへと変わります(アルコール発酵)

このように、同じタンクの中で糖化とアルコール発酵が同時に行われることを「並行複醗酵」といいます。

関連記事:並行複発酵とは?|並行複発酵はビールやワインと異なる日本酒特有の醸造方法

貴醸酒は発酵されずに残った「糖分」によって上品な甘さが生まれる

並行複醗酵で糖をアルコールに変える働きを担っている酵母ですが、実は酵母は以下のような性質を持っています。

酵母はアルコール濃度が20%程度に達すると死滅し、アルコール発酵が緩やかになる

ここで思い出していただきたいのが、貴醸酒は三段仕込みの3回目留添(とめぞえ)で仕込み水ではなく日本酒を加える点です。

三段仕込みの原料投入の順序

  • 一般的な日本酒 : ①水 ⇒ ②水 ⇒ ③
  • 貴醸酒     : ①水 ⇒ ②水 ⇒ ③日本酒

一般的な日本酒は、三段仕込みで「水→水→水」と加えるところを、貴醸酒では「水→水→日本酒」と3回目に日本酒を加えるため、アルコール度数が一気に高くなり酵母が死滅します。

そのため、醪にはアルコール発酵されるはずだった「糖」が大量に残り、甘いお酒になるのです。

サケ丸

日本酒の甘口・辛口は、酵母の働きが大きく関係しているんだよ!

関連記事:日本酒の甘口・辛口の違いとは?|日本酒度・酸度・アミノ酸度と味わいの関係

【おすすめアレンジ4選】自宅でカンタン!貴醸酒の美味しい飲み方

貴醸酒ロック

ドイツのワインで「貴腐ワイン」と呼ばれる高級酒があるのをご存知でしょうか。貴腐ワインは、貴腐菌と呼ばれるカビの働きを利用して、ブドウの持つ甘みを最大限に引き出した希少価値の高いお酒です。

貴醸酒は、この貴腐ワインを思わせるようなトロリとした優しい口当たりと濃厚でまろやかな甘みが特徴で、食前酒や食後酒にピッタリのお酒です。また、酸味もしっかりあるため、後味もサッパリとしています。

貴醸酒を美味しく飲むためのポイント|冷やして飲むのがオススメ

貴醸酒は一般的な日本酒と比べて糖度がとても高いため、温めると甘さが強くなり味がぼやける傾向があります。そのため、貴醸酒は常温か少し冷やして飲むのがオススメです。以下では、貴醸酒をアレンジして美味しくいただく方法を4つご紹介します。

アレンジ①:貴醸酒の水割り

貴醸酒は、一般の日本酒と比べて糖度が10倍程度高いため、水割りにすると糖度が薄まりスッキリと飲むことができます。

貴醸酒と水の比率ですが、「貴醸酒8:水2」を目安にしてください。また、加える水は水道水よりもできればミネラルウォーターが良いでしょう。

サケ丸

水道水を使うとカルキ臭くなって貴醸酒の上品な香りを台無しにしてしまうから、できれば避けたほうがいいよ!

アレンジ②:貴醸酒のオンザ・ロック

貴醸酒に大きめの氷を入れた「オンザ・ロック」は、暑い夏にピッタリな飲み方です。

貴醸酒に入れられた氷が時間とともにゆらゆらと溶け出す光景は見た目も美しいですし、徐々に薄まることによる味わいの変化も楽しむことができます。オンザ・ロックで使う氷は天然水で作られたものが良いでしょう。

さやかちゃん

貴醸酒を素早く冷やせるところも嬉しいですね ♪

アレンジ③:貴醸酒の炭酸割り

貴醸酒に冷たい炭酸水を入れると、シュワシュワとした発泡感がとても心地よく、まるでワインのシャンパンを飲んでいるかのような味わいを楽しむことができます。

貴醸酒と炭酸水の比率ですが、「貴醸酒8:炭酸水2」を目安に、お好みで調整してください。

サケ丸

まるで「スパークリングワイン」を飲んでいるかのような爽やかな甘味と発泡感を楽しむことができるよ!

アレンジ④:貴醸酒をアイスクリームにかけて大人の味に

市販のバニラアイスクリームに少量の貴醸酒をトロリとかけると、貴醸酒の上質で濃厚な甘みがアイスクリームにミックスされて、大人の味を楽しむことができます。

ほんのアルコール感が残って、まるで高級レストランで出される高級デザートのようです。貴醸酒を購入した際は、ぜひお試しください。

さやかちゃん

ん~ッ!美味しすぎて止まりません (^^)

貴醸酒は熟成を重ねると深い味わいになる

熟成した古酒

貴醸酒は、一般の日本酒の古酒(長期熟成酒)と同じように熟成される期間によって味わいが変化します。

熟成期間の短い貴醸酒は色が透明で、味わいも白ワインのように爽やかな甘味とサッパリとした口当たりが特徴です。

一方、しっかり熟成された貴醸酒は色が琥珀色になり、香りや味わいが複雑でどっしりとした味わいになります。

貴醸酒の熟成タイプ

  • ライト系(色が透明)
    ⇒白ワインのように爽やかな甘味とサッパリとした口当たり
  • ヘビー系(色が琥珀色)
    ⇒香りや味わいが複雑でどっしりとした味わい

関連記事:日本酒の古酒(長期熟成酒)とは?|古酒の魅力は熟成により深まる香りと味わい

まとめ

今回は貴醸酒はどのような日本酒なのか、また美味しい飲み方などをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

貴醸酒は三段仕込みの最後の「留添(とめぞえ)」で水の代わりに日本酒を使う高級なお酒であることをご理解いただけたかと思います。

私も、貴醸酒を最初に飲んだときは、その上品な甘さとなめらか口当りにビックリしたのを覚えています。甘いお酒が好きな方にはぜひ一度お試しください。

  • 貴醸酒とは、三段仕込みの留添の工程で、醪に仕込み水ではなく日本酒を加えて造られた日本酒のこと。
  • 貴醸酒は仕込み水の代わりに日本酒で仕込むため、製造コストがかかるリッチなお酒です。
  • 貴醸酒という名称は貴醸酒協会に加盟する団体のみ使うことが許されていて、協会未加入の蔵や酒造メーカーは「再醸仕込み」「醸醸」「三累醸酒」の名前で販売している。
  • 三段仕込みの3回目に日本酒を加えるとアルコール度数が一気に高くなり酵母が死滅するため、酒中にアルコール発酵しない糖が残り甘いお酒になる。
  • 貴醸酒は、一般の日本酒の古酒(長期熟成酒)と同じように熟成される期間によって味わいが変わる
  • 熟成した貴醸酒は、色が琥珀色になり味わいもさらに深みを増す。一方、貴醸酒の新酒は透明で、味わいも白ワインのように爽やかな甘味サッパリとした口当たりとなる。
  • 貴醸酒は、日本に来ている国賓をもてなすため、国税庁醸造試験所の研究室長である佐藤信博士が1973(昭和48)年に開発した。
  • 貴醸酒は、「貴腐ワイン」を思わせるようなトロリとした優しい口当たりと濃厚でまろやかな甘みが特徴で、食前酒や食後酒にピッタリのお酒。
  • 貴醸酒は一般の日本酒と比べて糖度がとても高いため、温度が高くなると甘さが強くなりすぎて味がぼやける傾向があるで、冷やして飲むことをオススメです。
  • 熟成した貴醸酒は濃厚な味わいが特徴で、水割り、オンザ・ロック、炭酸割りなど、さまざまなバリエーションで楽しむことができる。

 

 

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