醪(もろみ)とは?|三段仕込みは多量の日本酒を造る伝統技術

醪造り

さやかちゃん

「三段仕込み」という言葉は聞いたことがありますが、どんな作業なんですか?

サケ丸

酒母に「蒸し米・米麹・水」を3回に分けて投入して、醪を仕込む作業のことだよ!

「醪(もろみ)」という言葉は、多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

日本酒や醤油、味噌などの発酵食品は、原料を発酵させたの醪の出来が味の決め手となりますので、「醪造り(もろみづくり)」はとても重要な工程です。

日本酒・味噌・醤油は醪から造られる

日本酒は「三段仕込み」と呼ばれる室町時代から続く伝統的な手法で醪を造ります。この三段仕込みは、他のお酒では見られない日本酒ならではの優れた醸造方法ですが、一体どんな製法なのでしょうか。

そこで本記事では、日本酒のもとになる醪について、以下の2つを中心に解説いたします。

この記事で解説すること

  • 醪は日本酒の醸造工程でどのような役割を担っているのか
  • 醪造りの「三段仕込み」とはどのような製法なのか

なお、醪をそのまま瓶詰めした「どぶろく」については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧くださいませ。

器に注がれたどぶろく 日本酒のどぶろくとは?|にごり酒・甘酒との違いや美容・健康効果を徹底解説

醪(もろみ)とは酒母(しゅぼ)に「蒸し米・米麹・水」を加えたもの

醪(もろみ)

(出典:株式会社南部美人ホームページ

醪(もろみ)とは、酒母(しゅぼ)に「蒸し米・米麹・水」を加えてアルコール発酵させたもので、出来上がった醪を搾ると日本酒(清酒)になります。

醪はお粥のような白くドロドロした液体で、醪を搾らずにそのまま瓶詰めしたものが「どぶろく」です。

酒母とは?
「米麹・水 」を混ぜ合わせた水麹(みずこうじ)に「蒸し米・酵母」を加えたもの。米麹による糖化と酵母によるアルコール発酵が進むとお粥状のドロドロした甘酸っぱい液体になります。

なお、酒母については「日本酒の酒母とは?|酒母の造り方は【生酛・山廃酛・速醸酛】の3種類」で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧くださいませ。

サケ丸

醪を搾ると日本酒(液体)酒粕(固形物)に分離されるんだ!この搾る作業を「上槽(じょうそう)」と言うんだよ!

さやかちゃん

酒粕は醪の搾りカスだったんですね ♪

関連記事:上槽(じょうそう)とは?|搾り方(荒走り・中取り・責め)で変わる日本酒の味わい

醪(もろみ)は日本酒ならではの「三段仕込み」で造られる

三段仕込みは酒母を増やす日本酒独自の製法

※クリックで拡大

「三段仕込み」とは醪造りの製法のことで、酒母が入ったタンクに蒸し「蒸し米・米麹・仕込み水」を3回に分けて投入します。

三段仕込みは4日間にかけて行われ、1日目を「初添(はつぞえ)」3日目を「中添(なかぞえ)」4日目を「留添(とめぞえ)」といいます。

なお、2日目は踊り(おどり)と呼ばれ、「蒸し米・米麹・水」は加えずに醪内の酵母の増殖を促します。

サケ丸

酒母に「蒸し米・米麹・水」を3回に分けて加えることで、醪の量がどんどん増えていくんだよ!

さやかちゃん

醪は酒母を「三段仕込み」で増やしたものなんですね ♪

三段仕込みは「蒸し米・米麹・水」を3回に分けて加える

酒母は雑菌の増殖を防ぐため、乳酸菌を培養して酸性の状態になっています。ここに「蒸し米・米麹・水」を大量に加えると乳酸や酵母が薄まってしまい、雑菌が増殖する危険性が高まります。

そこで、「蒸し米・米麹・水」を3回に分けて少しずつ加えることで酸性の状態が薄まるのを避け、酵母が着実に繁殖する環境を整えるのです。

MEMO
酒母を酸性の状態にする理由は、「雑菌は酸性に弱い」特性を利用して雑菌の繁殖を防ぐためです。一方、「酒母は酸性に強い」特性があるため、雑菌がいなくなった酸性の酒母の中で爆発的に繁殖します。

三段仕込みは4日間かけて行われる(初添・踊り・中添・留添)

三段仕込みの作業内容
仕込みの期間 仕込みの回数 投入する原料 作業内容
1日目
初添(はつぞえ)
1回目 米麹、水、蒸し米 酒母の2倍の量を投入
2日目
踊り(おどり)
 -    - 何も加えず酵母菌を増殖させる
3日目
中添(なかぞえ)
2回目 米麹、水、蒸し米 初添の2倍の量の米麹、水、蒸し米
を投入
4日目
留添(とめぞえ)
3回目 米麹、水、蒸し米 中添の2倍の量の米麹、水、蒸し米
を投入

三段仕込みで「蒸し米・米麹・仕込み水」を投入する量は前回投入した量の2倍が基本で、最終的には酒母の量を当初の15倍以上にまで増やします。

3回目の仕込みが終わった後は、アルコール発酵の具合を見ながら醪の温度調整が行われ、3週間から1ヶ月程度で発酵が終わり、醪が完成します。

さやかちゃん

小さなタンクに入った酒母が15倍以上も増えるなんて、驚きです (*_*)

サケ丸

三段仕込みは、少量の酒母から大量の日本酒を生み出す画期的な醸造方法なんだ!

醪の中で行われる並行複発酵|糖化とアルコール発酵が並行して行われる

並行複発酵の仕組み

※クリックで拡大

日本酒造りの特徴の一つに、醪の中で行われる「並行複発酵」があります。

並行複発酵は、醪造りのタンクな中で米麹が出す酵素によってデンプンを糖に変える「糖化(とうか)」と、酵母によって糖をアルコールと炭酸ガスに変える「アルコール発酵」が並行して行なわれる発酵方式のことです

並行複醗酵は世界的に見てもとてもめずらしい発酵方法で、日本酒をはじめ韓国の「マッコリ」、中国の「紹興酒(しょうこうしゅ)」も並行複発酵で造られています。

MEMO
並行複発酵は、米麹が出す酵素がお米のデンプンをゆっくり糖分に変えるため(糖化)、酵母が効率的にアルコールに変えることができます(アルコール発酵)。そのため、糖化とアルコール発酵のバランスが保たれ、アルコール度数が高いお酒になります

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醪(もろみ)の仕込み方で日本酒の味わいが変わる

一升瓶

ここまで、醪の代表的な製法である「三段仕込み」について説明してきましたが、醪の仕込み方は他にも様々な方法があり、出来上がった日本酒の味わいや香りに影響を及ぼします。

三段仕込みの回数は3回だけではない|4段仕込み・10段仕込みとは

一般的に日本酒は3段仕込みで造られていますが、中には4段仕込み5段仕込み、さらには10段仕込みで造られている日本酒もあります。

仕込み回数は、増えるほど甘い日本酒になる傾向があります。三段仕込みによって発酵が進みアルコール度数が高くなった醪の中では酵母の活動が鈍くなります。そこに「米麹・蒸し米」を入れても、酵母は糖分をアルコールに変えることができないため、糖分が原酒に残り甘い日本酒になります。

MEMO

4段仕込み以上の場合は、仕込みの回数を増やすのではなく3段仕込みが終わった後に蒸し米を追加で投入します。例えば、4段仕込みは3段仕込みが終わった後に蒸し米を1回、10段仕込みは3段仕込みが終わった後に蒸し米を7回投入します。

段仕込みの種類と作業内容
段仕込みの種類 作業内容
4段仕込み 3段仕込み + 蒸し米投入1回
10段仕込み 3段仕込み + 蒸し米投入7回

サケ丸

仕込みの回数を増やすごとに甘みが増して、10段仕込みになるとトロリとした口当たりと濃厚な甘みを楽しむことができるよ!

醪(もろみ)は発酵温度の管理が重要|低温でじっくり発酵させる

醪の発酵温度は、日本酒の味わいを左右しますのでとても重要です。

醪は発酵が進むにつれて温度が上がっていきますので、純米酒や本醸造酒の場合は12℃~13℃程度、吟醸酒の場合は5℃~10℃程度で発酵させます。

醪は、低い温度で長期間じっくり発酵させると香り豊かで雑味が少ないきれいな日本酒になります。

醪の発酵温度

  • 普通酒、本醸造酒(12℃~13℃)
    ⇒お米の香りや旨味を最大限引き出すことができる
  • 吟醸酒、大吟醸酒(5℃~10℃)
    ⇒低温にするこで酵母は果実のような香り成分を生成する

MEMO
低温でじっくり発酵させること酵母にストレスがかかり「エステル類」を生成します。この成分が吟醸酒特有の果実のような香りを生み出します。

関連記事:吟醸酒とはどんな日本酒?|吟醸酒と大吟醸酒の違いとともに詳しく解説します!

硬水・軟水で変わる日本酒の味わい|ミネラルは酵母の活動量を決める

日本酒の製造過程で最も水を使うのが醪造りの際に使う「仕込み水」です。この仕込み水が軟水か硬水かによって日本酒の味わいが大きく変わります。

硬水・軟水で変わる日本酒の味わい

  • 軟水 ⇒お米の香りを引き出し、味わいはまろやかになる
  • 硬水 ⇒ 辛口でキレがあり、個性ある味わいになる

この味わいの違いは、水に含まれるミネラル分の働きによって生まれます。硬水には、カリウム、リン酸、カルシウムなどのミネラル分を多く含んでいます。

このミネラル分は酵母の活動を活発にする作用があるため、発酵が早く進みキレのある日本酒になります。

一方、ミネラル分の少ない軟水は、発酵がゆるやかに進みまろやかな味わいの日本酒になります。

関連記事:仕込み水で日本酒の味わいが決まる!|軟水と硬水の違いで変わる日本酒の特徴

さやかちゃん

硬水の方が酵母さんは元気に活動するんですね!

サケ丸

そうだね!仕込み水に硬水を使うと酵母が醪(もろみ)の中で最後まで発酵を続けてくれるから、腐造などの失敗のリスクが減るんだよ!

まとめ:「三段仕込み」は世界に誇れる先人の知恵

今回は日本酒造りの中心となる醪(もろみ)についてお話させていただきましたがいかがだったでしょうか?

酒母で大切に育てた酵母や乳酸菌を薄めることなく「蒸し米・米麹・水」を3回に分けて加える「三段仕込み」は、まさに世界に誇れる先人の知恵と言えるでしょう。

また、仕込みの回数が増えると甘い日本酒になる傾向があることをご紹介させていただきました。日本酒を選ぶ際は、仕込みの方法にもぜひ注目してみてください。

  • 醪(もろみ)とは酒母(しゅぼ)蒸し米・米麹・水を加えてアルコール発酵させたもので、出来上がった醪を搾ると日本酒になる。
  • 醪(もろみ)は三段仕込みで造られる。
  • 酒母は雑菌の増殖を防ぐため乳酸菌を培養して酸性の状態になっているため、薄まらないように蒸し米・米麹・仕込み水を3回に分けて投入する。
  • 三段仕込みは4日間にかけて行われ、1日目を初添(はつぞえ)3日目を中添(なかぞえ)4日目を留添(とめぞえ)という。
  • 三段仕込みで原料を投入する量は前回投入した量の2倍が基本で、最終的には酒母の量を15倍以上にまで増やす
  • ほとんどの日本酒は3段仕込みで造られているが、中には4段仕込み、5段仕込み、さらには10段仕込みで造られる醪もあり、仕込みの回数が増えるほど甘い日本酒になる

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