【山田錦・五百万石・美山錦】は日本酒の風味が違う!|生産地で変わる酒米の特徴とは?

収穫を迎えたお米

さやかちゃん

日本酒のことはあまり詳しくないけど、「山田錦」は聞いたことがあります!

サケ丸

「山田錦」と「五百万石」は優れたお米の品種で、この2品種は全国の酒米生産量の半分を占めているんだ!

日本酒造りで原料となるお米は、私たちが普段食べている飯米と異なる「4つの性質」が求められます。

この4つの性質を兼ね備えたお米は「酒造好適米」または「酒米」と呼ばれています。

今回ご紹介する「山田錦」「五百万石」「美山錦」はこの4つの性質だけではなく、日本酒の味わいをさらに高める「特別な特性」を兼ね備えた酒米です。

この特別な特性は、酒米の総生産量における「山田錦」「五百万石」「美山錦」の占める割合を見れば一目瞭然です。

総生産量に占める山田錦・五百万石・美山錦の割合

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サケ丸

「山田錦」「五百万石」「美山錦」は日本酒造りに適した特性があるからこそ、これだけの生産実績があるんだ!

そこで本記事では、生産量トップ3の山田錦・五百万石・美山錦にスポットを当てながら、酒造好適米について以下の3つを解説します。

タイトル

  • 酒造好適米が持つ4つの性質とは?
  • 山田錦・五百万石・美山錦の特徴と日本酒の味わいとは?
  • 全国の有名な酒米のご紹介

酒米のことが分かれば、お酒の香味がイメージしやすくなり日本酒を選ぶのが楽しくなると思いますので、ぜひ参考にしてください。

酒造好適米(酒米)|日本酒造りに特化したお米の4つの性質

精米された白米

日本酒は「お米・米麹(こめこうじ)・水」で造られるお酒です。原料のお米は日本酒のさまざまな醸造工程で使われるため、お米の良し悪しは日本酒の味わいに大きな影響を及ぼします。

日本酒造りに適したお米は「酒造好適米」または「酒米」と呼ばれ、飯米とは異なる4つの性質を持っています。

酒造好適米が持つ4つの性質

  1. 米粒が大きく心白の割合が高い
    ⇒精米のときに割れにくく麹(こうじ)が造りやすい
  2. デンプン質の含有量が多い
    ⇒糖化しやすく雑味が少ない淡麗な酒になる
  3. タンパク質、脂質の含有量が少ない
    ⇒雑味が少なくきれいな酒質になる
  4. 水を吸いやすく糖化されやすい
    ⇒良質な蒸し米となり醪の中でバランス良く発酵が進む

なお、酒造好適米が持つ4つの性質については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧くださいませ。

精米された白米 酒造好適米(酒米)とは?|酒造りに特化した酒造好適米が持つ4つの性質
MEMO
タンパク質や脂質は旨味成分であるため飯米には必要ですが、日本酒では多すぎると雑味を感じるようになります。酒米はタンパク質や脂質の含有量が少ないため、雑味のないきれいな日本酒造りに適しています。

代表的な酒米(4銘柄)|山田錦・五百万石・美山錦・雄町

平成30年産酒造好適米の生産状況等

出典:農林水産省ホームページ(平成30年産酒造好適米の生産状況等)

酒造好適米の種類は100種類以上ありますが、その中で「山田錦」「五百万石」「美山錦」生産量トップ3を誇る酒米です。

今回は、数ある酒米のうち「山田錦」「雄町」「五百万石」「美山錦」の4種類について、米の特徴や出来上がった日本酒の味わいなどについてご紹介します。

山田錦(やまだにしき)|「酒米の王様」の異名を持つ最も有名な酒米

  • 主な生産地:兵庫県
  • 生産高シェア:1位(36%)

「酒米の王様」と呼ばれるのが山田錦。その理由は、米粒が大きく心白の割合が高い、デンプン質の含有量が多い、雑味の原因となるタンパク質や資質の含有量が少ない、水を吸いやすく糖化されやすいなど、日本酒造りを安定的に行うために求められる性質を全て持っているためです。

山田錦を使って造られた日本酒は、香りが高く、繊細でスッキリとした味わいが特徴です。

サケ丸

山田錦は吟醸酒や大吟醸酒の原料として使われることが多く、「全国新酒鑑評会」に出品される日本酒は山田錦を使ったものが圧倒的に多いんだ!

雄町(おまち)|さまざまな酒米のルーツと言われる「日本最古の酒米」

  • 主な生産地:岡山県
  • 生産高シェア:4位(3%)

慶応2年にはすでに作られていた日本最古の酒米。日本酒造りにとても適した品種であるため、多くの酒造好適米にDNAが受け継がれており、山田錦や五百万石をはじめとした優良品種を生み出しています。

雄町は栽培に手間がかかるため、昭和40年代には「幻の酒米」と言われるほど生産量が落ち込みましたが、再び作付面積が増えつつあります。全生産量の90%が岡山産です。

雄町で造られた日本酒は、コクのある味わいと甘味と酸味のバランスに優れた日本酒に仕上がるのが特徴です。

サケ丸

雄町で造られた日本酒は根強いファンがいて「オマチスト」と呼ばれいるんだ!雄町で造られた日本酒だけを集めた「雄町サミット」は毎年開催されているよ。

五百万石(ごひゃくまんごく)|日本一の作付け面積を誇る新潟の酒米

  • 主な生産地:新潟県
  • 生産高シェア:2位(23%)

五百万石は、酒米の王様と呼ばれる山田錦と並んで2大巨頭として君臨する有名な酒米で、北陸地方を始め東北から九州まで幅広く栽培されています。五百万石は麹(こうじ)が造りやすく、麹になってもお米が溶け過ぎることがないため糖化が穏やかになるなど、加工性能に定評があります。

味わいは淡麗でスッキリとした辛口のタイプの日本酒に仕上がるのが特徴で、新潟の端麗辛口の一端を担っています。

さやかちゃん

「五百万石」という名前は、昭和32年に新潟県の米生産量が五百万石を突破したことを記念して付けられたそうですよ!

美山錦(みやまにしき)|涼しい地域でも栽培可能な長野県発祥の酒米

  • 主な生産地:長野県
  • 生産高シェア:3位(7%)

美山錦は長野県を代表的な産地とする品種で、昭和53年に長野県農業試験場で突然変異によって生まれた比較的新しい酒米です。現在は、長野県を中心に山形県、福島県などでも作られていて、涼しい地域でも育つ山形県の「出羽燦々」や岩手県の「吟ぎんが」は美山錦をルーツにしているものが多いようです。

美山錦は米質が固く醪で溶けにくいため、味わいは五百万石に近いスッキリとした軽快な味わいが特徴です。

サケ丸

「美山錦」の名前の由来は、北アルプス山頂にある白い雪のような「心白」があることから命名されたんだ!

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晩稲(おくて)と早稲(わせ)|収穫時期によって変わる日本酒の味わい

山田錦・五百万石・美山錦・雄町は収穫時期の違いから2つのグループに分けることができます。

  • 早稲(わせ):美山錦・五百万石
    ⇒早く田植えをして早く収穫する品種。比較的硬い米質で醪の中でゆっくり溶けるため淡麗なお酒に仕上がる。
  • 晩稲(おくて):山田錦・雄町
    ⇒遅く田植えをしてゆっくり実をつける品種。米粒が大きく水分を豊富に含むため豊潤なお酒に仕上がる。

さやかちゃん

お米の収穫時期によっても日本酒の味わいが変わるんですね!

全国の有名な酒米|品種によって変わる日本酒の味わい

以下では、酒米として多くの酒蔵で使用している代表的な品種を紹介します。

主要な酒造好適米
品種 産地 特徴
秋田酒こまち
(あきたこまち)
新潟県 平成10年に開発された秋田県オリジナル品種。香りが豊かで上品な甘
みがあり、旨さと軽快な後味を持つ日本酒になる。
吟風
(ぎんぷう)
北海道 平成12年に品種登録された比較的新しい酒米。芳醇でコクのある味わ
いが特徴で、同じ北海道で開発された「彗星」とは「味の吟風キレの
彗星」と言われている。
蔵の華
(くらのはな)
宮崎県 宮崎県で品種改良し誕生した宮崎県初の酒造好適米。上品な甘みとス
ッキリとした味わいの日本酒になる。
越淡麗
(こしたんれい)
新潟県 新潟県で15年に及ぶ研究開発を経て平成17年に誕生した新品種。山田
錦を母、五百万石を父とし、淡麗できれいな日本酒を造り出すことが
できる。
八反錦
(はったんにしき)
広島県 昭和59年に誕生した品種で、既存の八反系の欠点を解消することで広
島を代表する品種となった。吟醸香が高く淡麗な酒になりやすい。
華吹雪
(はなふぶき)
青森県 青森県で昭和61年に開発された品種。寒さに強く倒れにくく、大粒で
心白が大きいのが特徴。コクがありスッキリとした味わいが特徴。
ひとごこち 長野県 長野県農事試験場で育成され平成10年に奨励品種として登録された品
種。長野県で多く栽培されている美山錦よりも心白が出やすく大粒な
のが特徴。味わいは端麗で、幅広い味の日本酒を造ることができる。
兵庫夢錦
(ひょうごゆめにしき)
兵庫県 兵庫県で育成され平成5年に奨励品種に採用された品種。大粒で心白
が出やすく、酒造適性が高い。スッキリとした辛口の日本酒に向いて
いる。
たかね錦
(たかねにしき)
長野県 北陸12号を母、東北25号を父として昭和14年長野県農事試験場にて交
配し誕生した。淡麗ながらふくよかな味わいになるのが特徴。
出羽燦々
(でわさんさん)
山形県 山形県農業試験場で14年の歳月をかけて開発された品種。雑味が少な
くやわらかで香り豊かな味わいになるのが特徴。
吟ぎんが
(ぎんぎんが)
岩手県 岩手県オリジナルの品種として平成11年に奨励品種に採用された。き
れいでスッキリとした味わいが特徴。
神力
(しんりき)
兵庫県 明治10年に兵庫県で発見され昭和初期までは代表的な酒米だった。そ
の後栽培されなくなったが、平成6年に熊本県農業研究センターで復
活した幻の酒米。

酒米の産地MAP

地域の気候や風土、土壌といった自然環境下で育った酒米は、その土地特有の味わいを楽しむことができます。特に、地元で品種改良した地元産の酒米を使って日本酒を造る酒蔵も増えているとのこと。

以下のMAPは、全国で大切に育てられている代表的な酒米の品種を地域別にまとめたものです。

酒造好適米の品種と主な産地

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まとめ

いかがだったでしょうか。日本酒造りで使われている酒米は実に種類が豊富で、また品種や育てられた地域の風土によって日本酒の風味が変わることをお分かりいただけたかと思います。特に酒米の「酒米の王様」と呼ばれる山田錦で造られた日本酒は、価格は高めですが一度はその風味を味わっていただきたい1本です。

今後は、原料で使われている酒米の品種に着目して日本酒を選ぶのも楽しいかもしれませんね。

・以下の4つの条件を満たしているお米を酒造好適米という。

①米粒が大きく心白の割合が高いこと。

②デンプン質の含有量が多いこと。

③タンパク質、資質の含有量が少ないこと。

④水を吸いやすく糖化されやすいこと。

・山田錦は「酒米の王様」と呼ばれ、香りが高く繊細でスッキリとした味わいの酒になる。

・五百万石は山田錦と並んで2大巨頭として君臨する有名な酒米で、淡麗でスッキリとした辛口タイプの酒になる。

・美山錦は長野県を代表とする酒米で、スッキリとした軽快な味わいの酒になる。

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