サケ丸
さやかちゃん
玄米のご飯は栄養価が高い反面、苦味や渋味など味にクセがありますよね。そのため、ほとんどのご家庭では玄米を精米した「白米」を炊いて食べると思います。
日本酒の原料で使われるお米も同じで、玄米を精米して表面に含まれている余分な糠(ぬか)や胚芽(はいが)を削ったものを原料として使います。この玄米の表面をどのくらい削ったのかを示す指標が「精米歩合」です。
サケ丸
さやかちゃん
実は、精米歩合を知ることで日本酒の味や香りの方向性をある程度イメージすることができます。
そこで本記事では、以下の2点を中心に精米歩合について詳しく解説いたします。
- 日本酒を選ぶときに精米歩合をどのように見れば良いのか
- 精米歩合でなぜ日本酒の香りや味わいが変わるのか
精米歩合のことが分かると日本酒選びがもっと楽しくなりますので、ぜひ最後までご覧くださいませ。
目次
精米歩合でお米の削り具合が分かる
日本酒のラベルを見ると「精米歩合60%」などの表示があると思います。一見すると60%お米を削ったように見えますが、正しくは精米前と比べて60%お米が残っていることを表しています。
この精米歩合、日本酒造りにおいてとても大きな意味を持つ指標ですので、正しく認識いただけるよう以下で詳しく説明したいと思います。
精米歩合の数字の意味|精米歩合60%はお米を40%削っている
精米歩合とは、お米の表面を削って残った酒米の割合をパーセンテージ(%)で表したものです。例えば、精米歩合60%はお米を削ってもとの60%したの状態で、削られた部分(ぬか)は40%ということになります。
したがって、精米歩合の数値とお米の削り具合は以下のような関係にあります。
- 精米歩合の数値が低い ⇒お米をたくさん削っている
- 精米歩合の数値が高い ⇒お米をあまり削っていない
このように、精米歩合の数字が低いほどお米の表面をたくさん削っているのです。
市販されている日本酒の平均の精米歩合は平均70%程度と言われていますが、食用米の精米歩合は90%前後です。このことからも、日本酒の原料で使われている酒米は、いかに精米によって削られているのかが分かるかと思います。
さやかちゃん
お米を削る理由|お米の表面に雑味成分が含まれいていから
お米の表面の糠(ぬか)や胚芽(ばいが)は、以下の雑味の成分を多く含んでいます。この雑味成分が原料のお米に多く含まれていると、雑味や渋みがあるクセの多い日本酒になります。
- タンパク質
- ビタミン
- 脂質
一方、お米の中心部は日本酒造りには欠かせない栄養素「デンプン質」が多く含まれていて、この中心部を心白(しんぱく)と呼びます。精米は、雑味成分多く含んだお米の表面を削り、酒造りに必要な心白を残す作業なのです。
関連記事:酒造りに特化した酒造好適米(酒米)とは?|酒米の持つ4つの性質
精米歩合の値が低い(お米をたくさん削った)日本酒は高級酒
お米は削れば削るほど米の粒子が小さくなりますので、大量のお米が必要となり製造コスト高くなります。 また、お米を割らずに削ることはとても難しく時間がかかりますので、とても手間がかかります。このことから、一般的に「精米歩合が高い日本酒 = 高級なお酒」と言えます。
お米を磨く作業は、熱を持たないように低温でじっくり削るため、精米歩合60%なら24時間、50%なら48時間もの時間がかかります。
サケ丸
さやかちゃん
精米歩合で変わる日本酒の「味わい」と「香り」
精米歩合は、日本酒の味わいや香り大きな影響を及ぼします。そのため、精米歩合のことが分かると日本酒の味や香りの方向性をある程度つかむことができます。
精米歩合による味わいの変化|お米をたくさん削ると味わいスッキリ
日本酒は、精米歩合の値が低いと淡麗ですっきりとした味わいになり、逆に精米歩合の高いと濃厚で深みのある味わいになる傾向があります。
- 精米歩合の値が低い(お米をたくさん削っている)
⇒淡麗でスッキリとした雑味のない味わい - 精米歩合の値が高い(お米をあまり削っていない)
⇒濃厚で深みのある味わい
例えば、精米歩合50%の大吟醸酒は、お米の表面(ぬか)を徹底的に削り落としているため、一切の雑味のない澄み切ったクリアな味わいが特徴です。
関連記事:吟醸酒とはどんな日本酒?|吟醸酒と大吟醸酒の違いとともに詳しく解説します!
一方、精米歩合70%の純米酒は、お米の表面にあるタンパク質や脂質を適度に残すことによって、深い旨味とお米の素朴な甘みが特徴です。
関連記事:純米酒とは?|純米吟醸酒・純米大吟醸酒との違いやおいしい飲み方をご紹介
精米歩合による香りの変化|お米をたくさん削ると香り華やか
日本酒は、精米歩合の値が低いとフルーティーで香りが華やかなになり、逆に精米歩合の高いと穏やかで控えめな香りになる傾向があります。
- 精米歩合の値が低い(お米をたくさん削っている)
⇒フルーティーで華やかな香り - 精米歩合の値が高い(お米をあまり削っていない)
⇒穏やかで控えめな香り
精米歩合の数値が低い(お米をたくさん削る)と、なぜ香りが豊かになるのでしょうか。その原因は、お米の表面に多く含まれている「脂質」に原因があります。
脂質は香の成分「酢酸イソアミル」の生成を抑えてしまうため、お米の表面をよく削り脂質を減らすことで香りが出やすくなるのです。
サケ丸
スポンサーリンク
精米歩合の値が高い日本酒は美味しくならないの?
「精米歩合が低い日本酒 = おいしくない」という印象をお持ちの方もいると思いますが、そんなことはありません。確かに、お米の表面をあまり削らないと、雑味や苦味の多い日本酒になるのは事実です。
しかし、タンパク質や脂質は旨味や苦味の成分でもありますので、純米酒のようなお米の香りや深いコクを好む愛酒家も数多くいらっしゃいます。
また、蔵元さんの努力により、最近ではあえてお米をあまり磨かない低精米の日本酒が販売されています。
関連記事:日本酒の低精米酒とは?|お米の風味を堪能できる低精米酒はお燗酒にピッタリ
季節に応じて精米歩合の異なる日本酒を楽しみましょう
「精米歩合が高い日本酒の方がおいしい!」という固定概念にとらわれることなく
- 熱い夏場
⇒淡麗な味わいと華やかな香りの「精米歩合の値が低い日本酒」 - 寒い冬場
⇒燗酒でお米の旨味を堪能できる「精米歩合の値が高い日本酒」
というような具合に、季節や様々なシーンに応じて異なる精米歩合のお酒を選ぶと、日本酒の奥深さをさらに堪能することがでます。
日本酒初心者の方は精米歩合の数値が低いお酒がオススメ
精米歩合 | 日本酒のタイプ |
指定なし | 純米酒 |
70%以下 | 本醸造酒 |
60%以下 | 吟醸酒、特別本醸造酒、純米吟醸酒、特別純米酒 |
50%以下 | 大吟醸酒、純米大吟醸酒 |
※赤文字は醸造アルコールが添加されているお酒
一般的に、精米歩合の数字が低い日本酒は、サッパリとした味わい特徴です。したがって、日本酒をあまり飲み慣れていない方は、まずはお米の表面をしっかりと削られた大吟醸酒や純米大吟醸酒を飲んでみてはいかがでしょうか。
- 精米歩合の値が低い(お米をたくさん削っている)
⇒日本酒に馴染みのない方にオススメ - 精米歩合の値が高い(お米をあまり削っていない)
⇒日本酒通の方や飲み慣れた方
特に精米歩合が50%以下の大吟醸酒は、醸造アルコールの添加により香りがさらに引き立てられ、淡麗で辛口の味わいを楽しむことができます。
さやかちゃん
まとめ
お米の削り具合で、日本酒を口に含んだときの印象は驚くほど変わリます。その理由が、お米の表面にある雑味成分(タンパク質・ビタミン・脂質)であることご理解いただけたと思います。ただ、この雑味成分を旨味ですので、精米歩合が低いからといって日本酒の味が悪いと言えないところが、日本酒の奥深いところではないでしょうか。
いろいろな精米歩合の日本酒を飲んでいただきまして、自分好みの味を探求してみてください。
- 精米歩合とは、お米の表面を削って残ったお米の割合をパーセント(%)で表したもの。
- 精米歩合の数値が低いとお米をたくさん削っており、精米歩合の数値が高いとお米をあまり削っていない。
- お米の表面にはタンパク質、ミネラル、脂質が多く含まれており、お米をあまり削らないと、「雑味のある・味が濃い・旨味の多い」日本酒になる傾向がある。
- 精米歩合の数値が低いと、香り高くスッキリとした雑味のない日本酒になる。
- 精米歩合の数値が高いと、香りが抑えられ味が濃く旨味の多い日本酒になる。
- 精米歩合の数値が高い日本酒は、お米の香りや旨味・コクを味わうことができるため、「精米歩合が高い=おいしくない」ということではない。