日本酒造りの洗米(せんまい)と浸漬(しんせき)とは|洗米と浸漬は「吸水率」がとても重要

洗米したお米

さやかちゃん

ご飯を炊くとき、前日の夜にお米を洗って水に漬けておくことがありますよね。

サケ丸

酒米は水を吸うスピートがとても早いから、ストップウォッチで計りながら作業こともあるんだ!

日本酒の醸造工程における洗米(せんまい)浸漬(しんせき)は、お米を精米した後に行なわれる工程です。

日本酒が出来るまでの全行程

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日本酒造りで使われる酒米は、私たちが普段食べているご飯と同じようにお米を洗って水を吸水させる必要があります。

ただ、洗米と浸漬は私たちが想像する以上に繊細な作業が求められ、蒸し米(麹造り・醪の仕込みで使われる)の出来栄えを左右する重要な作業です。

さやかちゃん

お米を水に漬けておけば良いというものではないんですね…。

そこで本記事では、日本酒の醸造工程で行われる洗米と浸漬について、以下の2点を中心に解説いたします。

この記事で解説すること

  • 洗米・浸漬はどのような作業なのか?
  • 洗米の作業で気をつけなければいけないことは何か?
  • 浸漬の「限定吸水法」はどんな吸水方法なのか?

洗米・浸漬のことを知ると、日本酒がいかに繊細な作業の中で造られているのかがわかると思いますので、ぜひ最後までご覧くださいませ。

洗米とは|米の表面に付着した糠(ぬか)を洗い流す作業

洗米したお米

洗米とは、精米によってお米の表面に付着した糠(ぬか)を水洗いして取り除く作業で、「機械洗米」「輸送洗米」「手洗い」の3つの方法があります。

洗米歩法①:機械洗米|普通酒などで使う大量の米を機械で洗米する方法

普通酒や低精米酒(純米酒など)で使うお米を洗米するときに、多くの酒蔵で採用している方法です。米を洗う手間がかからないため、人件費や製造コストの節約にもなります。

また、近年は吟醸酒用の高精米を砕かずに優しく丁寧に洗米することができる洗米機が登場するなど、洗米の機械化が進んでいます。

関連記事:日本酒の低精米酒とは?|お米の風味を堪能できる低精米酒はお燗酒にピッタリ

洗米方法②:輸送洗米|浸漬タンクへ酒米と水を流す中で洗米する方法

精米場所から浸漬タンクまで酒米と水をホースを通って流す方法です。流れながら米が洗われていく仕組みで、この際に必要とされる水量は白米量の3倍から10倍量と言われています。

さやかちゃん

お米を輸送しながら洗えるなんて、ラクですね ♪

洗米方法③:手洗い|米粒が小さい吟醸酒用の米を手作業で洗米する方法

精米で表面をたくさん削った吟醸酒用のお米は、米粒が小さくとても割れやすいため、洗米はとても神経を使います。

そのため、ザルなどで小分けにしながら手作業で洗米している蔵が多いようです。また、冬場はお米を冷水で手洗いしなければならないため、大変な重労働です。

サケ丸

お米をお湯に漬けると一気に水分を吸収し始めるから、洗米は「冷水」が基本なんだ!

さやかちゃん

寒い冬に「冷水」で洗米…。確かに重労働ですね。

洗米は時間管理が重要|洗米中もお米は水分をグングン吸収する

良質な蒸し米を造るうえで重要になるのがお米に含まれる水分量です。洗米中もお米は水分をグングン吸収しますので、洗米時間を厳密に管理する必要があります。

サケ丸

洗米しているときに、お米は重量の10~15%もの水を吸収するんだよ!

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浸漬とは|洗米した米に水分をしっかり給水させる作業

洗米したお米

浸漬とは、米の中心部まで水分をしっかり給水させ、米を蒸したときに良質な蒸し米にするための作業です。

使用する水は4℃前後の冷水で、給水させる水の量は洗米した白米の自重の1/4程度が目安になります。

吸水時間は米の磨き具合で異なる|吟醸酒用の米の浸漬時間はたった数分

浸漬時間はお米の磨き具合によって異なります。普通酒で使うあまり磨かれていないお米は1~2時間程度吟醸酒で使われるしっかり磨かれた米粒の小さいお米は数分で終了します。

吸水時間

  • 普通酒(米粒大きい):1~2時間程度
  • 吟醸酒(米粒小さい):数分

サケ丸

日本酒造りでは、お米を精米することを「米を磨く」と言うんだ!

米に吸わせる水量は30%に調整|麹菌が活動しやすい環境を目指す

飯米は吸水率が60~70%であるのに対して、日本酒で使われるお米は吸水率が30%前後になるよう調整されます。

MEMO
元のお米が100kgで浸漬後が130kgであれば、吸水率は30%となります。
お米の吸水率

  • 浸漬後:27~30%
  • 蒸し米:37~40%
  • 飯 米:60%~70%
  • 麹菌が活動しやすい吸水率:33%以上

サケ丸

吸水率が30%前後の蒸し米は、麹菌が一番活動しやすい環境なんだ!

関連記事:麹(こうじ)とは?|日本酒造りにおける麹の役割を分かりやすく解説します!

限定吸水法|お米の吸水率は1%単位でコントロールされる

お米に必要以上の水を吸収されるとベタベタした蒸し米になり、この後の酒造工程に悪影響を及ぼします。そのため、お米の吸水率を1%単位でコントロールする必要があります。

吟醸酒や大吟醸酒で使われる表面をたくさん削ったお米は、水を給水するスピードがとても早いため、ストップウォッチを使って吸水時間の管理を行います。

このように、浸漬中にお米が水を吸収しすぎないよう吸水時間を制限する方法を「限定給水法」といいます。

サケ丸

吸水率が期待どおりの数値にならないと、この後の醸造工程が全て台無しになってしまうんだよ。

関連記事:日本酒で使う酒米は炊かずに蒸す!|麹・酒母・醪で使う蒸し米は外硬内軟が基本

浸漬で使う水の重要性|鉄・マンガンは日本酒の品質を低下させる

浸水で使われる水に鉄やマンガンが含まれていると醪(もろみ)の中で溶け出し、日本酒の色を褐色化させたり酒質が悪化するため、水質にも注意が必要となります。

  • 鉄    ⇒日本酒の色を濃く褐色(黒ずんだ茶色)にする
  • マンガン ⇒日光による日本酒の劣化を促進する

関連記事:仕込み水で日本酒の味わいが決まる!|軟水と硬水の違いで変わる日本酒の特徴

まとめ

洗米や浸漬は、お米に吸収させる水の量がとても重要であることをお分かりいただけたでしょうか。蔵人のみなさんがスットップウォッチを片手に作業を行う姿を想像しますと、日本酒がいかに繊細なお酒なのかがよく分かりますね。

  • 洗米とは、精米したときにお米の表面に残っている糠(ぬか)を取り除くためにお米を水洗いする作業のこと。
  • 洗米中もお米は水を吸収するため、給水量を厳密にコントロールする必要がある。
  • 浸漬とは、白米を4℃前後の水に漬けて米の中心部まで給水させる作業こと。
  • お米に必要以上の水が吸収されるとベタベタした蒸し米になるため、浸漬ではお米の吸水率を1%単位でコントロールする必要がある。
  • お米に吸収させる水の量は「吸水率」といい、飯米は吸水率が60~70%日本酒で使われるお米は30%前後になるよう調整さる。
  • 浸水で使われる水に鉄やマンガンが含まれていと、日本酒の色を褐色化させたり酒質が悪化するため、水質にも注意が必要となる。

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