さやかちゃん
サケ丸
日本酒の裏ラベルに記載された「醸造アルコール」の文字を見て、
- 「なぜ日本酒に醸造アルコールを入れるの?」
- 「醸造アルコールはどんなアルコールなの?」
- 「醸造アルコールは体に身体に悪くないの?」
と疑問に思ったことはありませんか。
実は、醸造アルコールは江戸時代初期から日本酒造りに使われている原料で、味わいや香りに3つの良い効果があるとされています。
また、醸造アルコールの入った日本酒は二日酔いや悪酔いするというネガティブな話もよく聞きますが、本当なのでしょうか?
そこで本記事では、醸造アルコールの3つの効果と、醸造アルコールと二日酔い・悪酔いの因果関係について詳しく解説いたします。
目次
醸造アルコールはサトウキビから造られた高純度のアルコール
醸造アルコールは、主にサトウキビを原材料に造られた高純度のアルコールです。純度が非常に高いため、日本酒に入れるときは水で薄めて添加されます。
また、醸造アルコールは無味無臭であるため、日本酒に入れても味や香りが変わることはありません。
さやかちゃん
醸造アルコールを日本酒に入れる 3つの効果
日本酒は、米・米麹・水のみで造られた純米酒などのお酒がありますが、一方で吟醸酒のように醸造アルコールが入ったお酒もあります。
- 入っている
⇒吟醸酒、大吟醸酒、本醸造酒、特別本醸造酒、普通酒 - 入っていない
⇒純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒
それでは、なぜ日本酒に「醸造アルコール」を入れるのでしょうか?その理由は、以下の3つの効果があるからです。
効果1:スッキリとキレのある軽快な飲み口の日本酒になる
醸造アルコールを日本酒に入れると、味わいの点で以下のような効果が生まれます。
- 醸造アルコール自体が辛口のため、添加することにより辛口でクリアな味わいになる
- 日本酒に含まれる雑味成分「糖分」「酸」を醸造アルコールが抑えてくれる
一般的に、醸造アルコールが入っている日本酒はスッキリとキレのある軽快な飲み口に仕上がります。
このように、醸造アルコールは味わいの調整のために添加されているのです。
効果2:フルーティーで華やかな香りを引き立てる
梨や桃など果実を思わせるフルーティーな香りがする日本酒を好まれる方が最近女性を中心に増えています。
このようなフルーティーな香りは「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれていますが、この香り成分は以下のような性質があります。
- 吟醸香の香り成分は、醪(もろみ)の中身含まれている
- 香り成分は水分よりもアルコールによく溶け込む
- 醪に醸造アルコールを添加することで香り成分が溶け出す
- 醪を搾った際に香り成分が清酒に多く含まれる
このように、醸造アルコールは吟醸香の成分を清酒に多く含ませるために添加するのです。
サケ丸
理由3:雑菌やカビの繁殖を抑える
日本酒のアルコール添加は江戸時代初期から行われていました。
この頃、醪(もろみ)に焼酎を入れると雑記やカビの繁殖を抑えることが発見され、以降お酒の腐造(ふぞう)を防ぐために醸造アルコールを入れるようになったようです。
ただ、衛生管理が徹底している現在は、こうした意味合いは薄れています。
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醸造アルコールの入った日本酒は二日酔いや悪酔いしやすいの?
醸造アルコールが入っている日本酒に対して、以下のようなイメージをお持ちの方も多いかと思います。
- 悪酔いする
- 二日酔いになりやすい
- 甘くてベタベタする
「醸造アルコールが入った日本酒=質の悪い日本酒」とイメージは、戦中戦後の「三蔵酒(さんぞうしゅ)」によって定着したもと考えられます。
醸造アルコールのイメージを悪化させた「三増酒」とは
三増酒の正式名称は「三倍増醸清酒」で、太平洋戦争前後の米不足の時代に、醸造した日本酒にさらに2倍の醸造アルコールや糖類を加えることにより、3倍に増量した日本酒のことです。
ただ、日本酒のイメージ低下をもたらした三増酒は、2006年の酒税法改正により廃止され、日本酒に入れる醸造アルコールの量も従来に比べて少なるよう規制されました。
- 特定名称酒:白米重量の10%以下
- 普通酒:醸造アルコール、糖類などの副原料の重量は米・米麹の重量の50%以下
サケ丸
関連記事:日本酒のイメージを低下させた「三増酒」とは?|三増酒が誕生した背景と現状
二日酔い・悪酔いの原因は醸造アルコールではない
醸造アルコールは、サトウキビを主な原料として造られた食物性のアルコールですので、体に害を及ぼすことはありません。
また、醸造アルコールの添加の量は2006年の酒税法改正以降厳しく制限されており、現在では主に味わいの調整のために添加されています。
したがって、二日酔いや悪酔いの原因は醸造アルコールではなく、その日の体調や飲み過ぎが原因と思われます。
さやかちゃん
醸造アルコールが入っている日本酒の種類と特徴
種類 | 原料 | 精米歩合 | 香味の特徴 |
吟醸酒 | 米・米麹・仕込み水 醸造アルコール |
60%以下 | 固有の香味及び色沢が良好なも |
大吟醸酒 | 50%以下 | 固有の香味及び色沢が特に良好なもの | |
本醸造酒 | 70%以下 | 香味及び色沢が良好なも | |
特別本醸造酒 | 60%以下又は 特別な醸造法 |
香味及び色沢が特に良好で、精米歩合60%以 下又は特に良好であることを製造方法等によ り説明表示してあるもの |
|
普通酒 | 規定なし | 特定名称酒として分類されない全ての日本酒 |
「吟醸酒」「大吟醸酒」「本醸造酒」「特別本醸造酒」は、国税庁が定めた「清酒の製法品質表示基準」の要件を満たすために手間と時間をかけて造られた「特定名称酒」と呼ばれています。
吟醸酒|フルーティーな香りと透明感のある味わいが特徴
お米を60%以下で精米し、低温でじっくりと醸造する「吟醸造り」で造った日本酒のこと。「吟醸香(ぎんじょうか)」と呼ばれるフルーティーな香りと透明感のある味わいが特徴です。
大吟醸酒|豊かな香りと雑味のないクリアな味わいが特徴
精米歩合が50%以下とお米をさらに磨いて(削って)いますので、吟醸酒よりもさらに香りが豊かになり、一切の雑味のないクリアな味わいが特徴です。
本醸造酒|スッキリとした辛口は日本酒初心者にもおすすめ
精米歩合が70%以下で醸造アルコールが入っているお酒です。スッキリとした辛口の味わいが特徴で、日本酒に馴染みのない方でも抵抗なく楽しむことができます。
特別本醸造酒|精米歩合60%以下の米を使った淡麗ない味わい
精米歩合が60%以下で醸造アルコールが入っているお酒です。本醸造酒よりも米をさらに磨き込んでいるため、淡麗で雑味のない味わいが特徴です。
普通酒|リーズナブルな価格は家での晩酌酒にピッタリ
特定名称酒の要件を満たしていない日本酒で、安価に販売されていることが多いため、家飲みや晩酌にピッタリの日本酒です。
サケ丸
関連記事:日本酒の特定名称酒とは?|8種類の製法や味わいの違いを徹底解説!
まとめ
醸造アルコールには戦後に販売されていた三増酒の黒歴史がありましたが、現在は味わいの調整や香りを引き立たせるなどの効果をねらって使われています。
同じ酒造メーカーで、醸造アルコールが入っている吟醸酒と入っていない純米吟醸酒を飲み比べてみると、醸造アルコールの効果の違いが分かるかもしれませんね。
- 醸造アルコールは、主にサトウキビを原材料に造られたほぼ100%の高純度のアルコール
- ・醸造アルコールを日本酒に入れる3つの効能は以下のとおり
- スッキリとキレのある軽快な飲み口の日本酒になる
- フルーティーで華やかな香り(吟醸香)を引き立てる
- 雑菌やカビの繁殖を抑える
- 醸造アルコールの入った日本酒は「吟醸酒」「大吟醸酒」「本醸造酒」「特別本醸造酒」「普通酒」の5種類
- 醸造アルコールの入った日本酒を飲んでも悪酔いしない。