「純米酒おすすめ10選」では、毎日の晩酌でお米本来の風味を楽しめる銘柄をご紹介しました。

純米酒は、お米と水だけで造られた日本酒ですので、吟醸酒や本醸造酒など醸造アルコールが添加されたアル添系のお酒と比べてお米の旨味やコクを味わうことができます。
今回ご紹介する「低精米酒」はお米の表面をあまり削らないで造る、酒米の個性を最大限引き出した純米酒です。
サケ丸
例えば、純米吟醸酒の精米歩合は60以下、純米大吟醸酒の精米歩合が50%以下なのに対し、低精米酒の精米歩合はなんと80%以上。
低精米酒がいかに米を削らずに造られているのかが分かると思います。
サケ丸
さやかちゃん
低精米酒の味わいは実にパワフル!お米の濃醇な旨味とコク、酸味は低精米酒でなければ味わうことができません。
サケ丸
さやかちゃん
そこで本記事では、1度は味わってほしい低精米酒のおすすめの銘柄を10本ご紹介します。
本記事をご覧いただきまして、食事のお供に低精米酒をぜひお試しください。
- 低精米酒のおすすめ10選
- 低精米酒はどんな日本酒なのか?
- 低精米酒の選び方
- 低精米酒のおすすめの飲み方と相性の良い料理
- 低精米酒の保存方法
目次
低精米酒とは|精米歩合80%以上!米の旨味とコクを楽しむお酒
精米歩合とは、精米でお米の表面を削り残りの部分をパーセンテージ(%)で表した指標です。
日本酒は米を磨けば磨くほど雑味のないスッキリとしたお酒になりますので、純米吟醸酒(精米歩合60%以下)や純米大吟醸酒(精米歩合50%以下)は丹念に磨いたお米を使って酒造りを行っています。
今回ご紹介する「低精米酒」の精米歩合はなんと80%以上。お米をあまり磨かずに造られた「お米の味を存分に堪能するお酒」なのです。
サケ丸
さやかちゃん
低精米酒の味わい|お米のパンチの効いた旨味と長い余韻が魅力
低精米酒の最大の特徴は「味わい」にあります。
お米の表面にはタンパク質や脂質などの「旨味・苦味」成分が含まれおり、多すぎると味の重い雑味のある酒になるため削り落として使用されます。
低精米酒は米の磨きを最小限にとどめているため、酒中にタンパク質や脂質を多く含んでいます。そのため、米の濃醇な旨味とコクを味わうことができます。
サケ丸
さやかちゃん
低精米酒の香り|穏やかなお米の香りはどこか懐かしさを感じる
お米の表面にはタンパク質や脂質が多く含まれていることをご紹介しましたが、実は脂質には「香り」を抑える作用があります。
低精米酒の醸造で使われる米には脂質が含まれていますので、吟醸酒のような華やかな香りはありませんが、お米のふくよかな香りを楽しむことができます。
サケ丸
さやかちゃん
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低精米酒おすすめ10選|食事とのペアリングに優れた銘柄をご紹介!
低精米酒のおすすめの商品を10本ご紹介します!
お米の穏やかな香りと濃厚な旨味を持つ低精米酒は、食中酒にピッタリな日本酒です。
そこで、食事とのペアリングに優れた銘柄を厳選しましたので、購入する際の参考にご覧ください。
①安芸虎 純米(高知県)
酒米 | 徳島県産阿波山田錦 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +10 |
酸度 | 1.4 |
味わい | 超辛口 |
飲み方 | 冷酒・常温・ぬる燗・熱燗 |
②恵 いづみ橋 海老名耕地(神奈川県)
酒米 | 地元産山田錦 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +1.8 |
酸度 | 2.0 |
味わい | 超辛口 |
飲み方 | 常温・ぬる燗 |
③上喜元 純米 出羽の里(山形県)
酒米 | 出羽の里 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +0.5 |
酸度 | 1.6 |
味わい | やや辛口 |
飲み方 | 常温・ぬる燗 |
④寺田本家 香取 純米80(千葉県)
酒米 | 出羽燦々 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +5.0 |
酸度 | 3.1 |
味わい | 辛口 |
飲み方 | ぬる燗・熱燗 |
⑤七本鎗 純米80%(滋賀県)
酒米 | 玉栄 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +7.0 |
酸度 | 1.8 |
味わい | 濃厚辛口 |
飲み方 | 常温・ぬる燗・熱燗 |
⑥紀土 -KID- 純米酒 低精米八十%(和歌山県)
酒米 | 山田錦 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | - |
酸度 | - |
味わい | 辛口 |
飲み方 | 常温・ぬる燗 |
⑦刈穂 醇系辛口80 純米酒(秋田県)
酒米 | 酒こまち |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +4.0 |
酸度 | 2.0 |
味わい | 濃厚辛口 |
飲み方 | 冷酒・常温・ぬる燗 |
⑧喜久水 黒純米 扁平精米82%(長野県)
地元農家と契約栽培した「たかね錦」を低精米で丁寧に醸した純米酒です。精米歩合82%と低精米ですが、扁平精米と呼ばれる特殊な精米方法で磨かれた米を使用しているため、米の旨味やコクを引き出した雑味のないお酒に仕上がります。
2017年 には全国燗酒コンテスト お値打ち燗酒 ぬる燗部門 の金賞を受賞しています。
酒米 | たかね錦 |
---|---|
精米歩合 | 82% |
日本酒度 | +1.6 |
酸度 | 1.8 |
味わい | 辛口 |
飲み方 | 冷酒・常温・ぬる燗 |
⑨亀齢 辛口純米 八拾(広島県)
酒米 | 中生新千本 |
---|---|
精米歩合 | 80% |
日本酒度 | +5.0 |
酸度 | 1.9 |
味わい | 辛口 |
飲み方 | 冷酒・常温・ぬる燗 |
⑩富久福 MICHIKO90 純米生酒(茨城県)
酒米 | 兵庫県産山田 |
---|---|
精米歩合 | 90% |
日本酒度 | -5.0 |
酸度 | - |
味わい | 辛口 |
飲み方 | 冷酒・常温・ぬる燗 |
低精米酒の選び方|4つのポイントをご紹介
食事とのペアリングに優れた低精米酒を好む方は徐々に増えており、これを受けて全国の酒蔵から数多くの低精米酒が販売されるようになりました。
「沢山の種類の低精米酒の中から自分好みの1本を見つけるのは難しい!」そんな方向けに、商品選びのポイントを4つご紹介します。
①甘口・辛口で選ぶ|日本酒度と酸度バランスで甘辛が決まる
日本酒の甘口・辛口は、酒中に含まれる成分によってある程度判断することができます。
その成分は「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つですが、特に日本酒度と酸度のバランスで日本酒の味わいが決まります。
◆日本酒度
日本酒度は、酒中にどのくらい「糖分」が含まれているかを示す指標で、日本酒の甘辛を判断する上で最も重要な指標です。
糖分が多ければマイナスで甘口の味わいになり、反対に糖分が少なければプラスでスッキリとした辛口の日本酒になります。
+6.0以上 | +3.5~+5.9 | +1.5~+3.4 | -1.4~+1.4 | -1.5~-3.4 | -3.5~-5.9 | -6.0以上 |
大辛口 | 辛口 | やや辛口 | 普通 | やや甘口 | 甘口 | 大甘口 |
さやかちゃん
◆酸度
酸度は、酒中に含まれる酸(コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸)の量を示す指標で、日本酒にキレを与える効果があります。
日本酒度が同じであれば酸度が高いほうが辛口、低いほうが甘口に感じられます。
1.6以下 | 1.6~1.8 | 1.8~2.4 | 2.4以上 |
少し薄い | 普通 | 少し濃い | かなり濃い |
サケ丸
◆アミノ酸度
アミノ酸度は、酒中に含まれるアミノ酸の量を示す指標で、日本酒に旨味やコクを生み出す高価があります。
日本酒度が同じであれば、アミノ酸度が高いほうが甘口、低いほうが辛口の味わいになります。
◆日本酒度・酸度|両者の相関関係から甘口・辛口を見極める
日本酒の甘口・辛口、濃厚・淡麗などの味わいは、日本酒度と酸度のバランスによって決まります。
そこで、日本酒度と酸度の値によって味わいがどのように変わるのか図にしましたので、日本酒選びの参考にしてください。
さやかちゃん
関連記事:日本酒の甘口・辛口の違いとは?|日本酒度・酸度・アミノ酸度と味わいの関係
②原料の酒米で選ぶ|酒米の品種は酒の風味を生み出す
お米の表面をあまり削らない低精米酒は、雑味や苦味を抑えるため、酒造りのために品種改良を重ねた「酒造好適米」が使われています。
低精米酒はお米の甘みや旨味をストレートに味わうお酒ですので、酒米の品質はとても重要です。購入する際は、ぜひお米にも注目してみてください。
◆山田錦(やまだにしき)
山田錦は「酒米の王様」と呼ばれるほど有名な酒米です。山田錦を使って造られた日本酒は、香りが高く繊細でスッキリとした味わいが特徴です。
◆雄町(おまち)
雄町は慶応2年にはすでに栽培されていた日本最古の酒米です。雄町で造られた日本酒は、コクのある味わいと甘味と酸味のバランスに優れた日本酒に仕上がります。
◆五百万石(ごひゃくまんごく)
五百万石は、山田錦と並んで2大巨頭として君臨する有名な酒米です。味わいは淡麗でスッキリとした辛口のタイプの日本酒に仕上がるのが特徴で、新潟の端麗辛口の一端を担っています。
◆美山錦(みやまにしき)
美山錦は長野県を代表的な産地とする品種で、昭和53年に長野県農業試験場で突然変異によって生まれた比較的新しい酒米です。美山錦で造られた日本酒は、五百万石に近いスッキリとした軽快な味わいが特徴です。
サケ丸
さやかちゃん
関連記事
→酒造りに特化した酒造好適米(酒米)とは?|酒米の持つ4つの性質
→【山田錦・五百万石・美山錦】は日本酒の風味が違う!|生産地で変わる酒米の特徴とは?
③価格で選ぶ|米の磨きが少ない分リーズナブルな商品が多い
低精米酒の魅力はコストパフォーマンスの良さにもあります。
低精米酒は、醸造アルコールや糖類、酸味料などの副原料が使われていません。また、お米もあまり削る必要がないため、原材料にかけるコストを低く抑えることができます。
そのため、比較的手頃な価格に抑えられている銘柄が多く、毎日の食中酒として気楽に飲める日本酒としておすすめです。
さやかちゃん
低精米酒の美味しい飲み方|食事と一緒に楽しんでほしいお酒
純米酒をワイルドでパワフルな味わいに仕上げた低精米酒を十分楽しむには、どれくらいの温度で、どんな料理に合わせれば良いのでしょうか。
以下では、自宅でおいしく低精米酒を飲むためのポイントについてお伝えします。
飲むときの温度|おすすめは常温(20℃程度)からぬる燗(40℃)
お燗の呼び名 | 温度 (徳利の温度) | 香りと味わい |
ぬる燗(ぬるかん) | 40~45℃(やや温かい) | 香りの輪郭がはっきり感じられる |
人肌燗(ひとはだかん) | 35~40℃(ほんのり温かい) | 味わいが膨らみはじめる |
日向燗(ひなたかん) | 30~35℃(温度を感じない) | ほんのり香味が感じられる |
常温(じょうおん) | 20~25℃(温度を感じない) | お酒本来の香味が感じられる |
純米酒と同様にお燗酒のメージが強い低精米酒ですが、実は冷酒から熱燗まで、幅広い温度帯で楽しめるのが大きな魅力です。
- 冷やした純米酒:10℃~15℃前後(花冷え~涼冷え)
⇒お米の濃厚な旨味とコクの味わいがスッキリして軽快な喉越しになる - 温めた純米酒: 30℃~50℃前後(日向燗~熱燗)
⇒お米の香りと味が膨らみ旨味やコクがさらに引き立つ
さまざまな飲み方が楽しめる低精米酒ですが、低精米酒の最大の特徴である米の旨味やコクを味わうのなら常温(20℃)~ぬる燗(40℃)の温度帯をおすすめします。
サケ丸
関連記事
→お燗酒の作り方|湯煎と電子レンジによる日本酒の温め方のコツとは?
→【日本酒の冷酒】全3種類をご紹介|冷酒の「呼び名」「味わい」は温度によって変わる
相性の良い料理|味の濃い料理と相性バツグン
和風 | 中華 | 洋食 |
●タレの焼き鳥 ●さばの味噌煮 ●手羽元の甘辛煮 ●塩辛 |
●餃子 ●酢豚 ●豚の角煮 ●焼豚 |
●ハンバーグ ●クリームシチュー ●グラタン ●赤身のステーキ |
お米のふくよかな香りと濃厚な旨味を持つ低精米酒は、「お米感」が非常に強い日本酒です。
そのため、炊きたての白いご飯に合う料理は低精米酒とも相性が抜群です。
また、低精米酒のボリューム感のある味わいは、クリームシチューやグラタンなどの濃厚なクリーム系の料理と合わせても負けることがありません。
さやかちゃん
低精米酒の保存方法|常温保存できるところが嬉しい
低精米酒は、「火入れ」という低温殺菌を貯蔵タンクに入れる直前に1回、出荷前の瓶詰めの直前の1回の合計2回行われています。
そのため、瓶内の酵母や酵素の活動がストップしていて酒質が安定していますので、常温保存することができます。
- 保存方法:常温保存(光の当たらない冷暗所)
- 賞味期限:製造年月日から10ヶ月(開封後は7~10日)
サケ丸
関連記事
→日本酒の保管で重要な3つのポイント|気を付けたい「光」と「温度」の管理
→日本酒の火入れとは?|生酒・生詰め酒・生貯蔵酒の違いは火入れの「回数」
まとめ:食中酒といえば低精米酒|お燗酒で心も体も温まりましょう!
今回は、お米の旨味に特化した低精米酒について、おすすめの銘柄を10本ご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
低精米酒は、精米歩合80%以上の純米酒で、お米の表面を極力削らないことで味わえる濃厚な米の旨味とコクが特徴です。
サケ丸
さやかちゃん
低精米酒がいかにお米を削っていないお酒なのかは、他の純米系の日本酒と比べても一目瞭然です。
- 低精米酒 ⇒精米歩合80%以上
- 純米酒 ⇒精米歩合の規定なし(70%前後が多い)
- 純米吟醸酒 ⇒精米歩合60%以下
- 純米大吟醸酒 ⇒精米歩合50%
純米大吟醸酒の中には、なんと「精米歩合20~30%」の酒米を使って醸造された高級酒もあるんですよ。
サケ丸
さやかちゃん
お米をよく削って造られた高精米酒がもてはやされる中、幅広い料理に合わせることができる低精米酒を好む方は徐々に増えています。
- 和食:タレの焼き鳥、さばの味噌煮、手羽元の甘辛煮
- 中華:餃子、豚の角煮、酢豚
- 洋食:シチュー、グラタン、赤身のステーキ
サケ丸
さやかちゃん
本記事では、数ある低精米酒の中から、食事とのペアリングに優れた銘柄を10本をご紹介しましたので、ぜひお試しください。
本記事が、美味しい日本酒選びのお役に立てれば幸いです。
それではまた!